就業中の給与は銀行口座に自動的に振り込まれても、失業保険(失業給付)の給付は自動的に振り込まれるものではない。手続きを滞りなく行い、必要に応じてハローワークに行くことで、決まった時期に失業保険の給付を受け取ることができるのだ。失業保険の手続きの流れと必要書類、手続きを進めていく際の注意点について解説する。

自己都合と会社都合での受給条件の違い

自己都合の受給条件

多くの退職が自己都合に当てはまり、自発的に退職を申し出て離職した自発的な離場合を指す。自己都合の退職者は「正当な理由なし(転職や起業などの離職)」と「正当な理由あり(ケガ、病気による就業困難で離職した場合などの会社側の解雇ではない、自らの離職)」の2つの場合に分けられて、下記のようにそれぞれ受給条件が異なる。

「正当な理由なし」
・被保険者期間が1年以上(離職日以前の2年間)
・待機期間(離職票提出と求職申込みを行った日から失業保険支給までの7日間)が満了後、3ヶ月の給付制限期間

「正当な理由あり」
・被保険者期間が6ヶ月以上(離職日以前の1年間)
・待機期間(7日間)が終われば、すぐに基本手当の支給を開始

会社都合の受給条件

勤めていた会社が倒産、または解雇(懲戒解雇は除く)、退職勧奨、有期契約の打ち切りなど、自発的でない離職を指す。受給条件は自己都合の「正当な理由あり」と同じである。

その他

定年退職、有期雇用契約の満了など、自己都合・会社都合にも当てはまらない場合

・被保険者期間が1年以上(離職日以前の2年間)
・待機期間(7日間)が終われば、すぐに基本手当の支給を開始

失業保険の手続きの流れ

失業保険の手続きは、失業する前、つまり、就業しているときから始まる。

1.雇用保険被保険者証をハローワークで確認

在職中に、自分が雇用保険の被保険者になっているかどうかをハローワークで確認する。手続きは簡単だ。

ハローワークで「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」の用紙を受け取り、氏名と生年月日、事業所名を記入し、本人確認ができる運転免許証などを提示するだけで確認することができる。

2.離職証明書に記名・押印

退職する旨を会社に伝えると、後日、離職理由などが記された「離職証明書」に記名・押印するように指示される。記名する前に離職理由や雇用期間が正しいか確認しよう。

例えば、会社の一方的な理由による退職であるにもかかわらず離職者個人の都合と記載されていると、失業保険の受給期間が短くなってしまうことがある。

3.ハローワークで求職申し込み

退職後、会社から郵送される「雇用保険被保険者離職票」と本人確認できる書類、正面上半身が写った縦3センチ×横2.5センチの写真2枚(3カ月以内に撮影したもの)、印鑑、本人名義の普通預金通帳をハローワークに持っていき、求職の申し込みを行う。

なお、雇用保険被保険者離職票は、郵送されず会社に取りに行かねばならないこともある。

4.雇用保険受給者初回説明会に参加

指定された日に印鑑と筆記具、求職申し込み時に渡された雇用保険受給資格者のしおりを持って「雇用保険受給者初回説明会」に参加する。

その場で、次回以降の失業保険申請に必要な「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されるので、なくさないように保管しよう。また、1回目の失業認定日がいつなのかもこのとき教えてもらえる。

5.4週間に1回、ハローワークで確認

原則として4週間に1回はハローワークで失業の認定を受ける。指定された日にハローワークに行き、雇用保険受給者初回説明会で渡された失業認定申告書に求職活動の状況などを記入して、雇用保険受給資格者証と合わせて提出する。

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失業保険の手続きにおいて必要な書類

失業保険の申請には、在職していた会社から受け取る「雇用保険被保険者離職票」が必要になる。この書類は、会社を退職後10日ほどで郵送される。

「雇用保険被保険者離職票‐1」と「雇用保険被保険者離職票‐2」の2枚組になっており、2枚どちらもハローワークの受付に提出しなくてはならない。

なお、類似する書類として「雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)」があるが、これは会社がハローワークに提出するものなので、離職者がハローワークに持っていく必要はない。

初回手続きの所要時間と窓口の営業時間

初回手続きの流れ、所要時間

ハローワークでの失業保険の手続きは1時間ほどで完了する。順を追って説明しよう。

1.必要な書類を提出
まず、下記の書類を用意して、ハローワークの窓口で必要なものを提出する。なお、雇用保険の手続きは、月〜金曜日(休祝日・年末年始を除く)の8時半〜17時15分の間になる。

・雇用保険被保険者離職票(1と2の2枚)
・写真2枚(最近の写真、正面上半身、3cm×2.5cm)
・雇用保険被保険者証
・求職申込書(ハローワークで用意してもらえて、その場で記入)
・チェックシート(基本手当の受給資格などのチェック用紙をその場で記入)
・マイナンバーの番号を証明するもの(マイナンバーカード、通知カード、番号の記載のある住民票)
・身分確認書類(免許証やパスポートなど写真付き、マイナンバーカードがある場合は不要)
・身分確認書類がない場合、公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など異なる2種類が必要(コピー不可)
・印鑑
・本人名義の預金通帳、またはキャッシュカード(指定できない金融機関がある、ゆうちょ銀行は可能)
※離職票は、年金免除申請で「退職を証明する書類」として使用できるので、必要ならばコピーをしておく

2.ハローワークで求職するためのユーザー登録
先ほど、提出した書類を係員がチェックを行い、自己都合または会社都合で間違いないかなどの確認をして、ハローワークで求職相談や求職情報をパソコンで閲覧する際に必要になるユーザー登録を行う。

3.失業給付などの説明、銀行口座の登録
失業保険を受け取るまでの流れの説明がある。また、失業保険の振込先の銀行口座の登録を行うので、通帳またはキャッシュカードを用意する(一部指定できない金融機関がある、ゆうちょ銀行は可能)。

その後、今後の雇用保険受給者説明会で必要な書類を受け取って終了となる。

受け取る書類
・ハローワークカード(ハローワークで就業相談や求職情報を閲覧する際に必要)
・再就職支援アンケート
・ハローワークの案内書
・雇用保険のしおり
・雇用保険受給者説明会の案内書
・失業認定申告書

約1時間で手続きが完了するだろう。

東京都内のハローワークの営業時間

・飯田橋
合同庁舎
平日(月〜金)8時30分〜17時15分
サービス延長時間(合同庁舎2階での求人情報提供、職業相談・紹介のみ)
月・木曜 17時15分~19時
第1・第3土曜 10時~17時
※第2・第4・第5土曜日および日曜・祝日は閉庁
U-35
平日(月~金)10時~18時30分
第3土曜 9時〜17時
シニアコーナー
平日(月~金)10時~18時
中核人材確保支援コーナー
平日(月~金)8時30分~17時15分

・上野
雇用保険窓口
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(月・水・木)8時30分~17時15分
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み

・品川
平日(月~金)8時30分~17時15分
サービス延長時間(求人情報提供・職業相談・紹介など)
月・木曜 17時15分~19時
第1・第3土曜 10時~17時
※第2・第4・第5土曜日および日曜・祝日は閉庁
品川就業センター
平日(月~金)9時~17時

・大森
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(月・水・木)8時30分~17時
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み
蒲田ワークプラザ
平日(月・水・木)8時30分~17時
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み

・渋谷
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(月・水・木)8時30分~17時15分
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み
マザーズハローワーク東京
平日(月~金)9時~17時
東京わかものハローワーク
平日(月~金)10時~18時
ワークサポートめぐろ
平日(月~金)9時~17時
ワークサポートせたがや
平日(月~金)9時~17時

・新宿
西新宿庁舎
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(火・水・金)8時30分~17時15分
平日(月・木)8時30分~19時
第1・3土曜 10時~17時
※第2・4・5土曜日及び日曜・祝日は休み
歌舞伎町庁舎
平日(月~金)8時30分~17時15分
東京新卒応援ハローワーク
平日(月~金)10時~18時
第1・3土曜 10時~17時
※第2・4・5土曜日及び日曜・祝日は休み
東京外国人雇用サービスセンター
平日(月~金)10時~18時
新宿わかものハローワーク
平日(月~金)10時~18時
杉並区就労支援センター
平日(月~金)9時~17時

・池袋
本庁舎 平日(月~金)8時30分~17時15分
サンシャイン庁舎 雇用保険給付課 平日(月~金)8時30分~17時15分
平日(月・水・木)8時30分~17時15分
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み
成増ワークプラザ
平日(月~金)9時~17時
ワークサポートねりま
平日(月~金)9時~17時

・王子
平日(月~金)8時30分~17時15分
赤羽しごとコーナー 平日(月~金)9時~17時

・足立
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(月・水・木)8時30分~17時15分
平日(火・金)8時30分~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み
日暮里わかものハローワーク
平日(月~金)10時~18時
マザーズハローワーク日暮里
平日(月~金)9時~17時
あだちワークセンター
平日(月~金)8時30分~17時
JOBコーナー町屋
平日(月~金)10時~18時

・墨田
錦糸町庁舎
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(火・水・金)8時30分~17時15分
平日(月・木)8時30分~19時
第1・3土曜 10時~17時
※第2・4・5土曜日及び日曜・祝日は休み
かつしかワークプラザ
平日(月~金)9時~17時

・木場
平日(月~金)8時30分~17時15分
船堀ワークプラザ
平日(月・水・木)9時~17時
平日(火・金)9時~19時
第2・4土曜 10時~17時
※第1・3・5土曜日及び日曜・祝日は休み
ほーとワークえどがわ
平日(月~金)9時~17時

・八王子
平日(月~金)8時30分~17時15分
八王子しごと情報館
平日(月~金)9時~17時
ナイスワーク高幡
平日(月~金)9時~17時
八王子新卒応援ハローワーク
平日(月~金)10時~18時

・立川
平日(月~金)8時30分~17時15分
北口駅前JOBぷらっと
平日(月・火・木・金)10時~19時
平日(水)10時~18時
第1・2・3・4土曜 10時~17時
※第5土曜日及び日曜・祝日は休み
マザーズハローワーク立川
平日(月~金)9時~17時
こだいら就職情報室
平日(月~金)9時~17時
東大和就職情報室
平日(月~金)9時~17時
あきしま就職情報室
平日(月~金)9時~17時
東村山就職情報室
平日(月~金)9時~17時

・青梅
平日(月~金)8時30分~17時15分
分庁舎
平日(月~金)8時30分~17時15分
あきる野ハローワーク求人情報コーナー
平日(月~金)9時~17時
瑞穂ハローワーク求人情報コーナー
平日(月~金)9時~17時

・三鷹
平日(月~金)8時30分~17時15分
西東京就職情報コーナー
平日(月~金)9時~17時
東久留米ワークコーナー
平日(月~金)9時~17時
清瀬・ハローワーク就職情報室
平日(月~金)9時~17時

・町田
平日(月~金)8時30分~17時15分
職業相談窓口
平日(月~金)8時30分~17時15分
第1・3土曜 10時~17時
※第2・4・5土曜日及び日曜・祝日は休み

・府中
平日(月~金)8時30分~17時15分
調布国領しごと情報広場
平日(月~金)9時~17時
永山ワークプラザ
平日(月~金)9時~17時

待機期間と給付期間に注意

雇用保険被保険者離職票の提出と求職の申し込みを行った日から通算7日間は、「待機期間」として失業保険の給付を受けることはできない。

また、自分の都合で退職した場合や重大な過失で会社から解雇された場合は、待機期間終了後さらに3カ月間は「給付制限」として給付されない。

ハローワークからの仕事紹介や職業訓練などを正当な理由なく拒否した場合も1カ月間の「給付制限」が発生する。

失業保険の給付期間は、年齢や雇用保険の被保険者であった年数、退職の理由によって、90日~360日までの間で決定される。

いつから受け取れるのか、自分の給付期間がどのくらいなのかわからないときは、ハローワークでたずねることができる。

失業保険の手続きにおいて気を付けること

必要な書類を確認して忘れずにハローワークに行くこと、指定された日に雇用保険受給者初回説明会に必ず参加すること、4週に1回のハローワーク訪問時に雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を忘れずに持っていくことが大切である。

もちろん、失業保険の手続きを滞りなく実行することも大切であるが、再就職に向けた活動を積極的に行うことも大切といえるだろう。また、失業保険を受け取れない間の生活をどうするか考えてから退職を決意するようにしたい。

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