離職を考えるときや失業したとき、将来の不安もさることながら、失業保険(失業給付)を受け取れる期間がどのくらいなのかということが気になるのではないだろうか。失業保険を受け取れる期間はどのくらいなのか、どの程度の期間雇用保険に加入していれば失業保険を受け取れるのかについて解説する。

目次

  1. 失業保険とは
  2. 失業保険の受給資格とは
  3. 待機期間
  4. 所定給付日数と保険加入期間の関係
  5. 具体例でイメージする
  6. 離職前にシミュレーションしてみよう

失業保険とは

失業保険とは、雇用保険の被保険者であった人が、離職の日からさかのぼって2年の間に雇用保険の被保険者であった期間が通算12カ月以上あった場合に受け取れるものである。

ただし、会社の都合で離職した場合や身体的な事情で離職した場合、結婚や引っ越しなどのやむを得ない理由で就業を続けられなくなった場合などは、離職の日からさかのぼって1年の間に雇用保険の被保険者であった期間が通算6カ月以上あれば受け取ることができる。

失業保険は、どのような理由で離職に至ったか、雇用保険の被保険者であった期間がどのくらいか、離職前にどの程度の給与を受け取っていたかで給付期間と金額が決まる。

雇用保険の被保険者であった期間が長かった人の場合、給与(基本給や通勤手当など定期的に受け取っていたお金)が多かった人の場合、そして離職の理由が離職者本人には避けられない事由であった場合、受け取る期間や金額は多くなる。

失業保険の受給資格とは

失業保険を受給するには次の3つの条件を満たしていることが求められる。

まず、雇用保険の被保険者であった人の離職であること。基本的に、事業所に雇用されて働いている人は雇用保険の加入対象者だが、65歳以降に新規に雇用された人や、雇用期間が31日未満であったり、1週間の労働時間が20時間未満のパートタイマーは加入対象ではないので注意しよう。

次に、就職しようとする積極的な意思と就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること。積極的な再就職の意思を示すためにも、所定の日にハローワークに行き求職活動の状況を報告する必要がある。

そして、離職前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算12カ月以上あったこと。ただし、特定の理由に該当する場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あれば可能である。

被保険者期間とは、離職日から1カ月ごとに期間を区切り、その1カ月に業務に従事した日数が11日以上ある月を意味している。

待機期間

勤務していた会社から離職後に受け取る「雇用保険被保険者離職票」を持って、ハローワークで求職の申し込みを行う。この申し込みを行ってから通算7日間は「待機期間」と呼ばれ、失業保険を受け取ることはできない。

給付は待機期間終了後から始まるが、自分の都合で離職した場合や会社に損害をもたらすような重大な過失のために解雇された場合などは、待機期間終了後さらに3カ月は給付が制限される。

所定給付日数と保険加入期間の関係

失業保険を受け取ることができる最大日数を「所定給付日数」と呼ぶ。所定給付日数は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者であった年数、離職の理由によって、90日~360日の間で決まる。

雇用保険の加入期間が長いほど給付日数が長くなるというわけだ。再就職が決定し新規業務に従事した時点で失業保険の給付は打ち切られる。

倒産や解雇など会社側の事情が原因で離職した場合や、その他やむを得ないと判断される理由で離職した場合、所定給付日数は次のように決定される。

雇用保険の被保険者であった期間が1年未満の場合と、同期間が1年以上5年未満で離職者が45歳未満の場合、所定給付日数は90日となり、その他の場合は、被保険者期間と離職時の年齢によって、120日~330日に設定される。

自己都合で離職した場合、所定給付日数は次のように決定される。

まず、雇用保険の被保険者期間が1年未満だった場合、失業保険の支給はない。同期間が1年以上10年未満だった場合の所定給付日数は90日、10年以上20年未満だった場合は120日、20年以上だった場合は150日となる。

一方、体に障害を持っている人や刑法上の理由で就職が困難とされる人の場合、所定給付日数は次のように決定される。

雇用保険の被保険者期間が1年未満だった場合は所定給付日数が150日となり、同期間が1年以上で離職者が45歳未満の場合は300日、同期間が1年以上で離職者が45歳以上65歳未満の場合は360日となる。

具体例でイメージする

過去6カ月間の給与合計が180万円で、自分の都合で離職した29歳の会社員(雇用保険の被保険者期間は6年)の場合、失業保険の所定給付日数や基本手当日額はいくらになるであろうか。

所定給付日数は90円、基本手当日額は5705円、そして給付総額は51万3450円となる。

離職の理由が会社都合の場合は所定給付日数が120日になるので、給付総額もその分増えることになる。すなわち、会社都合によって離職する場合の所定給付日数は120日、基本手当日額は5705円、支給基本手当総額は68万4600円となる。

離職前にシミュレーションしてみよう

自分が離職したらどの程度の失業保険を受け取ることができるのか、離職前に一度計算してみることは必要なことだといえる。簡単に計算できるWebサイトなどもあるので、離職後の生活に対する不安を軽減させるためにもシミュレーションしてみよう。