スペースワールド,テーマパーク,地方振興
(画像=Webサイトより)

福岡県北九州市のテーマパーク「スペースワールド」が、2017年12月末で閉園することを西日本新聞が報じた。12月16日午後には、同園は自社のWebサイト上で閉園を発表、一時サイトはアクセスしづらい状況となった。

同園は最近、およそ25種類5000匹の魚を氷漬けにした上を滑るスケートリンク「氷の水族館」という奇抜なイベントを展開していたが、ニュースサイトで紹介されると、「生きた魚を氷漬けにした」といいった情報が流れ、「悪趣味」「残酷」「かわいそう」とネット上で炎上した。それを受けて、翌27日にリンクの営業停止に追い込まれたばかりだ。

四半世紀に渡る歴史

新日本製鉄八幡製鉄所(現・新日鉄住金八幡製鉄所)の第一高炉周辺の工場跡地に、「宇宙」をテーマにしたレジャー施設として1990年4月に開業したスペースワールド。開業当初からスペースシャトル「ディスカバリー号」の実物大モデルがあり、宇宙に関連した様々なアトラクションで人気を博していた。1997年には、年間216万人の来園者数を記録している。

しかし、他のテーマパークとの競争が激化した上に、集客を図る手法が手詰まりになって徐々に来場者数が減り経営不振に陥った。2005年5月に親会社の新日鉄住金が民事再生法の適用を申請し、同年7月に加森観光(札幌市)が営業権を譲り受けた。

加森観光は集客力アップのため2007年にアイススケート場を整備し、2008年には流水プールを新設して経営再建に取り組んだ。それと前後して100人以上いた正社員の半分をリストラして、1万4700円だった年間フリーパスを5000円以上も大幅に値下げした。

来園者数は2007年度の147万人を底に上昇に転じ、2012年度は1654万人まで回復した。2013年度以降の来園者数は公表されていないが、2014年に新設された「カピバランド」は老若男女の人気を集めていた。

同園は上昇基調や黒字は続いているとしているが、地元は突然の閉園の理由が分からず困惑しているという。

閉園に至った要因は?

プールやアイススケート場など20億円近い設備投資、そして年間フリーパスの大幅値下げによる減益が経営不振の原因という見方がある。

しかし日本経済新聞は記事で、運営会社は「『経営難が理由ではない』と説明している」としたうえで、「関係者によると、土地を保有する新日鉄住金と賃貸契約更新の交渉が不調に終わったもようだ。新日鉄住金は土地の新たな貸出先を探るとともに、アトラクションの処分を運営会社と協議する」と報じている。

冒頭で触れたスケートリンク騒動を閉園理由としてあげる声もある。

ただ同園は閉園理由を「諸般の事情」としており、詳細について何も語っていない。前術した日本経済新聞の記事にあるように、閉園理由が「経営難が理由ではない」とするなら、「魚の氷漬けスケートリンク騒動」によるイメージダウンが大きかったのだろうか?

来園者を楽しませようとした企画がアダになって批判を浴びる結果になったわけだが、こういった「やり過ぎ」の例は他にもある。記憶に近いところでは、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の「祟 TATARI ~生き人形の呪い~」というホラーアトラクションだ。

USJで初めて「和」をモチーフにしたホラーアトラクションとして話題を集めた。このアトラクションで展示されている人形は、和歌山県にある人形供養で有名な淡嶋神社に奉納された人形だった。

USJ側は神社にアトラクションで展示する旨を伝え了解を得たと説明。しかし人形を奉納した人からは、「お焚き上げで奉納したはずなのに」と苦情が来た。日本人形協会も、「日本人形のイメージを損なう営業妨害である」と注文、USJ側は「法的根拠に基づいていない話だが、貴重な意見として参考にさせていただく」とコメントするだけでアトラクションを続行している。

だがスケートリンク騒動によるイメージダウンが理由であるなら、来年いっぱい運営する理由が見当たらない。日経が報じたように、土地の契約交渉が大きく影響しているのは間違いないだろう。またマディズニーランドやUSJも例外ではない。そうしたことも影響しているのかもしれない。いずれにせよ閉園まで残り1年。従来以上の来園者数となりそうだ。(ZUU online 編集部)