JTは1999年にWinstonやCAMELなどの有名タバコブランドを保有する世界3位のRJRナビスコ社から米国外たばこ事業部門を約9400億円で買収し、海外展開に大きな一歩を踏み出しました。また、RJRナビスコ社の米国外たばこ事業部門の買収は当時の日本企業では史上最高額の買収額となっていました。またそれから8年後の2007年にはイギリス、アイルランド、オーストリアなどの市場をマーケットとするイギリスのギャラハー社を買収。その額は約2兆2千億円となり、前回の史上最高額の2倍以上の海外大型M&Aを成功させています。この二つの大型M&AによりJTはたばこ産業における世界的な立ち位置を確率し、世界第3位のたばこ関連企業に成長。また、国別のシェアNO2を誇る地域を10以上にも伸ばしてきました。


JTの海外M&Aが好調な理由

なぜJTの海外M&Aが好調なのか。それは買収前と買収後を意識した徹底的な買収戦略にありました。海外企業買収という話を聞くと、買収額に目が行ってしまいその後の成否については不明確なケースがよくあります。そのような中、買収した結果事業が停滞してしまったり、買収前に見えていなかったトラブルも引き継いでしまうというのはよくある話です。JTの場合、たった10年間の間にRJRナビスコ社とギャラハー社の大型買収を成功させて世界第3位のポジションにまでのぼりつめました。その成功の秘訣とは、徹底的な買収戦略。具体的には言語や文化の違いを乗り越えマーケットの特性を瞬時に把握し柔軟に対応、そして買収企業とのシナジーを最短で最適化するための策を講じること。つまり"買収後に何をするか"ということを明確にしたうえで買収に踏み切るということが海外大型M&Aの成功につながっていると考えられています。


優秀な人材が惜しみなく買収企業へ出向

JTのM&Aの場合、買収前チームと買収後チームに分かれた人事構成を敷き、買収に臨んでいます。特にJTが力を入れているのが買収後に各社を統合させる部門。重要な役員人事から徹底的なコストカット、経営戦略までを事業買収前から綿密に計画し買収後にスピーディーに進めていくという徹底した戦略がJTの海外大型M&Aを成功させている秘訣であると考えられています。優秀な人材というのはどうしても親会社の方で保有しておきたいところですが、JTの場合はそうではなく優秀な人材をどんどん買収先企業に出向させることで、2つの企業の意思統合を早め舵取りがスムーズになるような環境を作り出しています。