日本企業に相次ぐ大型M&A失敗による巨額損失

最近で言えば2011年には武田薬品工業がスイスのナイコメッドを96億ユーロで買収。武田薬品がヒット商品の相次ぐ特許期限切れによる売り上げ低迷の打開策として手を打ったのがナイコメッド社の買収でした。しかし、マーケットは広がったものの国や企業文化の違いによって経営は複雑化。買収先企業からはそのような状態を見かねて優秀な人材が大量流出。そのような背景もあり武田薬品のナイコメッド社買収は失敗との見方が強まっています。また、第一三共も4900億円でインドのランバクシー社を買収。当初インドをはじめとする新興国を中心としたマーケットへの参入を見越したM&Aでしたがランバクシー社工場の品質管理問題が浮き彫りとなり米食品医薬品局がランバクシー製品をアメリカへ輸出することを禁止するなど大きなダメージを受ける結果となりました。このように日本企業の当初予定していた"シナリオ"がもろくも崩れ去り、海外大型M&Aというケースが多い傾向があります。


日本企業が海外M&Aを成功させるには

日本企業による海外M&Aは買収額に着目しその後の流れをうまくつかめていないという特徴があるようです。また買収後も親になっていたものの、子会社の経営は子会社任せという状態になりがち。そのため経営に大きな影響を与える人事構成やリストラ施策なども実行されないまま生ぬるい空気で子会社が経営を続ければ状態が悪化するのも時間の問題なのではないかとも考えられます。そのため日本企業が海外大型M&Aを成功させるには、企業内での優秀なグローバル人材の確保と、買収先企業に対するより細かい調査、リスクヘッジ策など、これまでよりも外資企業に入り込んだ経営が必要となってくるのではないでしょうか。

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