民泊,不動産投資,マンション経営
(写真=PIXTA)

2016年は民泊関連のニュースで持ち切りの年だった。リオ五輪開催では宿泊施設の公式ブロバイダーにAirbnbが認められたこともあり、東京五輪を控える日本でも話題になった。しかし2016年は日本での民泊関連の法整備は途中経過の段階で終わり、投資をする側としても動きづらかった年でもある。

今年の民泊事情を振り返りながら、押えておきたいポイントをまとめてみた。2017年こそは民泊投資を始めてみたいと考えている人には必見の内容である。

これまでの民泊関連の規定、総まとめ

現在(2016年12月28日)において、民泊を開業する方法は次の許可、または認定を受ける必要がある

  • 旅館業法における簡易宿所の許可
  • 特区(国家戦略特別区域)内での民泊認定を受ける

旅館業法の簡易宿所においては、2016年の4月に一部規制緩和が行われ、以前に比べれば民泊が開業しやすい内容になった。

規制緩和の内容

  • 床面積の緩和33平方メートル以上から収容人数×3.3平方メートルに引き下げ
  • フロント設置義務は緊急時対応の体制を整えれば義務なし(いずれも各地方公共団体ごとにさらに詳細規定が設けられている。)

簡易宿所での民泊開業は以前よりは容易になったことに間違いない。しかし殆どの住宅用物件では改造が必要になる(水回りや設備面で)。

政府が指定している特区としては、東京都・神奈川県全域、千葉県千葉市・成田市、大阪府、大阪市、兵庫県、京都府、そして北九州市・福岡市だ。特区といっても指定された地方公共団体が条例を定めなければ認定は実施されない。

ゆえに、現在では東京の大田区、関西では大阪府の一部と大阪市、そして来年実施開始の北九州市以外は特区民泊認定にはあまり積極的ではないのが現状である。

民泊投資は特区だけのおいしい話?規制緩和と現実の温度差

前述したように、簡易宿所の緩和は改造面でまだまだハードルが残り、特区認定では営業日数や近隣住民への周知義務などがネックとなっている。営業日数を2泊3日に引き下げる(2017年1月より)大阪府と大阪市においても、認定民泊の増加には難航している。特区だから積極的に民泊投資ができるエリアだとも言えないのである。

宿泊施設の増加が急務だという政府と、規定を慎重に定める自治体との温度差がどうしても縮まらない。このような状況下では不動産投資家が、空いている物件をささっと民泊に変えて五輪まで儲けてみよう!というわけにはいかなくなってくる。

2017年、民泊投資をするなら押えておきたいポイント

2017年は残された「民泊新法」の制定に期待が寄せられ始めた。次のような内容である。

  • 年間180日以内の営業制限
  • 家主滞在型は届け出、不在型は管理への運営委託で許可による営業可
  • 住居専用地域内でも可能(旅館業法、特区内は不可)

その他細かい規定もあるが、肝心なのは「一般の住居が」「改造なしに」「特区などのエリアも関係なく」「民泊としての運用が可能」になることだ。旅館業、特区法の影響をうけない独自の法整備がされる

民泊新法で可能性が出てくるアイデアの例としては

  • シェアハウス運営で空いている部屋を「家主滞在型民泊」として運営する。「家主」は物件の所有者に限定されない。賃借り人でもよい=シェア人でも可能
  • 観光立地の良い場所は管理委託会社の運営で採算のあう宿泊料を設定して許可で運営 住居専用地域内の住宅でも可能になるため民泊手つかずエリアでの展開

などである。

現在の日本では「今さらもう民泊ではないのでは」という見方も出てきている。確かに一考に値する。

しかし東京五輪を4年後に控え来日する外国人観光客が宿泊する場所を求めてこれからも増加し続けることだけは間違いない。来年以降、民泊投資を考えるなら、新法の行方は押えておくべきポイントだ。

片岡美穂
不動産関連、外国人雇用・ビザ等を扱う行政書士。元土地家屋調査士。