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(写真=Licvin/Shutterstock.com)

確定拠出年金(DC)には、企業型DCと個人型DCがあることをご存知だろうか。個人型DC(愛称「iDeCo」)は、掛金と運用収益の元利合計で給付額が決まる制度だが、掛金額はいくらでも良いわけではなく、拠出限度額が定められている。今回は、個人型確定拠出年金の月々の上限額についてご紹介する。

個人型DC(iDeCo)とは

個人型DC(iDeCo)とは、個人で掛金を積み立てるとともに、積み立てた資産を自分で資産運用できる年金のことである。もともと、この個人型DC(iDeCo)は、企業型DCの恩恵を受けられない立場にある人が自助努力で老後に備えるための制度として、自営業者や企業年金の無い会社員のみに加入が認められている制度であった。

しかし、法改正に伴い、2017年1月より、個人型DC(iDeCo)を利用できる人の対象が拡がる。企業型DCを行っている会社員、公務員、専業主婦なども加入できるようになったことで、ほぼ全ての現役世代が対象となった。自助努力次第で、自身の老後の糧をより増やせる可能性があるということだ。

個人型DC(iDeCo)の拠出限度額

個人型DC(iDeCo)には、さまざまな決まりごとがあるが、最も大きいものが拠出限度額ではないだろうか。この拠出限度額は、立場によって異なってくる。具体的に見ていこう。

・自営業者               :月68,000円
・企業年金未実施の会社員        :月23,000円
・企業型DCに加入している会社員     :月20,000円
・確定給付企業年金等に加入している会社員:月12,000円
・専業主婦(主夫)           :月23,000円
・公務員                :月12,000円

個人型DC(iDeCo)のメリット

さて、個人型DC(iDeCo)のメリットはどこにあるのだろうか。

・節税になる
個人型DC(iDeCo)で納める掛金については、その額がそのまま所得控除となり、所得税および住民税が軽減される。例えば、年収500万円、課税所得300万円の会社員の場合、掛金が年144,000円だとすると、年間28,800円(※)を節税できる計算になる。
※計算根拠: 掛金年額144,000×(所得税率10%+住民税率10%)=28,800円

・自分で運用方法を決めることができる
公的年金は、国民から集めた年金の掛金で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が資産運用を行っている。個人型DC(iDeCo)では、自分の年金資産を自分で運用することになる。運用方法や運用資産の選択は自分自身に委ねられ、運用成績が良ければ、得られた利益がそのまま年金として貯蓄されていくことになる。また、本来は課税対象である運用益についても非課税になる。複利効果を最大限に効かせることができるというわけだ。

・受け取り方を選ぶことができる
個人型DC(iDeCo)の受け取りについて、年金のように受け取る方法を選択すれば、公的年金の上乗せとして期待できる。老後にもらえる年金額に不安がある人は若いうちから積み立てを続けたい。また、退職金のように一括で受け取ることもできる。ただし、原則として60歳になるまで運用資金は引き出せないことには、注意が必要だ。

このようなことから、例えば、同じ金額を定期預金などに置いておくよりも、DCを利用して運用した方がより多くのメリットが得られる可能性が高いといえる。

積極的に活用していきたい制度

日本は累進課税制度を導入しており、年収が多い人ほど税率が高くなる。そのため、掛金を拠出した分だけ税負担を軽減することのできる個人型DC(iDeCo)は、特に大きなメリットとなる。節税という観点からだけでも、制度の利用を前向きに検討してほしい。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

【注意事項】
※当記事は2016年12月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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