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(写真= Sergey Nivens / Shutterstock.com)

不動産業界には色々な資格がある。有名資格でいうと宅建士や不動産鑑定士、マンション管理士などが挙げられる。最近では「不動産キャリアパーソン」という資格も誕生しており、不動産関連の資実に多種多様になってきている。

不動産キャリアパーソンとは?

不動産キャリアパーソンとは、不動産取引に関わる人達全般に対して、安心で安全な取引を推進するために2013年から認定を開始した資格である。特徴としては、実際の不動産取引に活かされる「実務」知識に重点をおいた内容になっている点だ。

実務知識とは具体的に言うと、実際に物件を調査する際の注意点や不動産広告に関しての細かい規制。更に、不動産の売買や賃貸借契約をする時の基本などを学ぶことができる。

不動産キャリアパーソンが生まれた背景は?

不動産キャリアパーソンが生まれた背景には、ネットでの情報があふれかえっている「今の時代」にある。30年以上前までは一戸建てやマンションなどを欲しいと思ったら現地に行かなくては情報が得られなかった。それがREINS(レインズ。不動産会社のみ閲覧できるネットワークシステム。売り出し物件や成約物件の情報を見る事ができる)の誕生により、不動産業者であれば情報をリアルタイムで共有できるようになった。

さらに最近では不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME'Sなど)があるので、誰でもどこでも物件情報を見られるようになった。しかし、そのおかげで広告の規制が増えたり、契約書への注意喚起事項が増えたりと、不動産会社は不動産取引において注意するべきポイントが増えていった。

そのため宅建士の資格だけではなく、より実務に特化したカリキュラムを作成する必要があり、不動産キャリアパーソンが生まれたと言われている。

不動産キャリアパーソンの詳細

不動産キャリアパーソンの詳細について説明していこう。

資格を取得する方法
所定のカリキュラムを受講して、修了試験に合格すると資格が取得できる。上述したような不動産取引の実務の基礎知識を中心に学習をする。具体的な学習方法は、受講者が自分でテキストとインターネットの講義動画を見て学ぶ、通信教育の講座になっている。その講座を受けた上で、月に1回開催されている修了試験に合格すれば資格を取得できる。試験は40問あり、7割(28問)の正解で合格となる。

資格の種類
不動産キャリアパーソンは、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)に認定される資格である。

不動産キャリアパーソンを取得するメリット
不動産キャリアパーソン取得するメリットは二点ある。一点目は実務を学べるので不動産業務経験が少ない者でも経験値として蓄積される点だ。二点目は、業務に従事していない不動産関係者にも有効な点だ。不動産業界の仕事は売買、賃貸、仲介、一戸建て、マンション、土地など、取引形態も扱う商品も多種多様である。

その中で、基本的には「マンションの仲介」など一つの商品に特化した業務が中心になっていく。そのため、不動産キャリアパーソンを学べば、既存の知識を深めたり、異なる商品の異なる取引形態を学ぶことができ、知見を深め幅を広げたりできる。

不動産関係のその他資格の紹介

不動産鑑定士
不動産鑑定評価に関する法律に基づいて作られた国家資格であり、不動産関係資格の中では最も難易度が高い。比較する資格としては、建築業界で最難関の資格とされている1級建築士の資格と同じくらいの難易度である。業務としては、土地をはじめとする不動産の経済価値を判断して、それを数値化するという業務。

マンション管理士
マンション管理士も前項の不動産鑑定士並みの難易度である資格だ。マンション管理組合の運営や大規模修繕を含む建物構造知識、マンション維持管理の知識など、マンションを管理することに関しては幅広く、そして深い知識が求められる。業務としては、管理組合の立場でマンション管理のコンサルティングをする。不動産鑑定士と同じく国家資格である。

宅建士
2015年までは宅地建物取引主任者と呼ばれていた資格である。宅地建物取引業法に基づいて定められた国家資格である。宅建士を持っていないと、「重要事項の説明」や「契約書への記名押印」ができない。これらの業務ができないと、不動産の売買や仲介などが一人でできないので不動産会社では、宅建士を取る事を義務付けている会社も多い。

また不動産業を行う企業であれば、宅建士の資格を有している社員を一定量確保しておく義務もあるため、不動産業界に従事する上では必須の資格だ。難易度は、上記の不動産鑑定士やマンション管理士より1ランク下である。他の資格と比較するとFP1級や2級建築士並みの資格である。

今回話したように不動産キャリアパーソンは、より実務に特化した資格になっている。宅建士もそうだが、不動産の資格は業務経験がないと頭に入ってこない資格が多いのも事実だ。しかし、これは不動産業自体が専門性の高い業務であるため、仕方がない事である。そんな中で、実務レベルに沿ってカリキュラムが作られている不動産キャリアの資格は、今後企業でも取得を推進していく可能性がある資格だ。(ZUU online 編集部)