投資センス,投資マインド
(写真=PIXTA)

自分が投資の世界に足を踏み入れてみたら、今度は親として、子どもにどんなふうにお金の教養を授けていったらいいかを考えます。当たり前のことですが、人と同じ発想をしていては、お金を儲けることはできません。そこでもっとも必要なもの……何かわかりますか? それは、クリエイティブな発想です。

世の中をよく知ったうえで、一歩も二歩も先を読み、今後、どんなモノやサービスが伸びるか、なかでもひときわ的確に世の中のニーズをとらえた事業、他に類をみない事業を展開しているのは、どの企業か。これが投資におけるクリエイティブな発想です。

投資は自分がクリエイティブであってこそ成功する

投資とは、いわば他者の発想にお金を出すということですが、自分もクリエイティブであってこそ、他者のクリエイティビティを見極めることができます。

では、どうしたらそんなクリエイティブな発想を育てることができるのでしょうか。意外と思われるかもしれませんが、「歴史」と「地理」の教育がもっとも効果的です。といっても、学校の歴史の授業とは別物と思ってください。学校で教わるのは、単なる年号と出来事の羅列です。

しかも、古代からじっくり教えるせいで、肝心な近現代史に近づくほど授業が薄くなってしまう。だから、極端にいえば「原始人の姿」は知っているのに「今のアメリカの大統領」を知らないというような子どもが量産されてしまうのです。

学校は、現代史から因果関係を遡る形で歴史を教えるべきだと、つねづね私は思っています。誤解を恐れずにいえば、現代からたどって、明治維新、幕末から江戸時代、戦国時代、室町時代まで詳しく教えれば十分だと思います。はっきりいって、竪穴式住居や縄文土器の知識など、その分野の研究者を志すのでもなければ、興味のない人に教えても何の役にも立ちません。

近現代史にしても、年号と出来事の羅列を頭に入れたところで、今の世の中に投影させる視点がなければ、単なる知識。やはり人生の役には立ちません。ならば、どうするか。親が教えてあげなくては、子どもは学ぶことができません。

歴史を「点」「線」「面」でとらえた知識

「歴史は繰り返す」ともいわれるように、過去の出来事は、現在と未来の世界を読み解くための重要なレファレンスです。ただし、歴史の知識を「世の中を読み解く知恵」にするためには、歴史を「点」でとらえるだけでは足りません。

出来事と出来事を「線」でつなぎ、どんな国、あるいはどんな人物が、どう動いた結果その出来事が起こったのかを知ること。さらには、「面」でとらえること。

ここでいう「面」とは地理、つまり地政学的に歴史を見るということです。たとえば、なぜ第二次世界大戦が起こったのか。なぜ日本は真珠湾攻撃をし、太平洋戦争を始めたのか。なぜ日本は日露戦争で勝てたのか、そもそもなぜ日露戦争に至ったのか。なぜペリーは浦賀に来航したのか、なぜ徳川幕府が倒され、明治維新が起こったのか……。

このようにとらえてみると、今の世の中の見え方がガラリと変わります。地球という全体像から、個々の国、個々の企業、そして自分、という具合に、より大きな視野で物事を考えることができるようになります。

歴史を「点」「線」「面」でとらえた知識が、投資にも役立つ想像力、創造力の源泉となるのです。これこそ、人生の知恵となる知識です。

子どもの眼がとらえている世界は「家庭」「学校」、広くてもせいぜい「日本」と、きわめて狭いものです。そこに、「世界」「地球」という大きな視野を付与していくこと。遠回りのように見えて、じつはこれが、子どものクリエイティビティを伸ばす一番の近道です。

縄文時代の生活のあれこれよりも、今どの国とどの国が喧嘩をしているのか、それはなぜなのかを教えてあげましょう。お子さんによっては、古代史よりも今、起きていることに興味を持つ子だって多いと思います。

そんな難しそうな話、子どもには理解できないのでは?いえいえ、まず興味を持たせることが大切です。「子どもにわかりっこない」と考えずに、「そのうち理解できるさ」というくらいのつもりで、日々、歴史知識のシャワーを浴びせてみてください。

その知識が、親も気づかないうちに着々と子どものクリエイティビティの芽を育て、やがて人生の知恵として大きく結実していくのです。

やや横道にそれますが、私の高校時代、現代史で1922年のワシントン海軍軍縮条約について先生に質問しました。「日本はなぜこんなに不利な内容を受け入れたのですか」という質問でした。すると先生は、「歴史の授業をただ暗記せず、菅下君のように疑問を
持つことが大切だ。歴史がおもしろくなるし、成績も上がるよ」といって、丁寧に教えてくれました。子を持つ親御さんも、このような姿勢でいてほしいと思います。

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日常生活で鍛えるお金の教養

すぐにでも親子で投資を始めたい!と思った人もいるかもしれませんが、それは、ちょっと待ってください。投資を教える前に、まず基本的な経済観念を育ててあげてほしいと思います。

ほんの少し意識して暮らせば、じつは、ごく普通の日常生活にも、子どものお金の教養を高めるチャンスがたくさんあるのです。スーパーなどは、身近に経済を体験できる場所の筆頭です。バターや豆腐、牛乳、肉類、野菜。子どもの目には、お父さんやお母さんが普段、何気なく買っているように見えるものでも、そのときどきの経済や天候によって、価格の変動がありますね。

ところが、こんな点でも「子どもの前でお金の話はしない」「子どもにはお金を触らせない」といった〝日本式旧来型教育〟が影響して、モノの値段を教えない、感じさせないという親は多いのではないでしょうか。「最近、野菜が高くて困るわ」なんてセリフを子
どもの前で呑み込んでいませんか?

親がこの調子だと、子どもは大学生や社会人となって一人暮らしを始めたころに、ようやく「レタスの値段って季節や天候によって全然違うんだ」などと気づくのです。こんな初歩的なお金の教養を身につける時期としては、遅すぎるくらいです。

実家暮らしが長引くほど、お金に疎いままで、モノの値段を知ることすらできません。私自身がそうでした。大学生のときでさえ、実家から通っていたので、野菜の値段もお米の値段も知りませんでした。モノの値段を知ることは、ごく初歩的な社会勉強です。家計を預かる親は、当然、食材の価格変動に敏感にならざるを得ませんね。その感覚を、できるだけ早いうちに、子どもと共有してください。

そのつもりでいれば、スーパーは、まさに「学びの宝庫」です。
ただ買い物に連れていくだけでなく、まず「玉ねぎがいくら、キャベツがいくら、バターがいくら」といった値段チェックを、子どもと一緒にしましょう。子どもは意外と、こういう話題が好きなものです。「昨日に比べて値段は変化した?上がった?下がった?」などとクイズ方式にすれば、きっと食いついてくるでしょう。

投資家マインドの育て方

さらには、こうした価格変動が起こっている背景も話してあげてください。

「無農薬栽培の野菜は高い」「鳥インフルエンザがあったから卵が値上がりした」「バターが一人1個しか買えないのは、生乳が不足しているせい」「暖かい日が続いたから野菜が大きく育ち、しかも安くなっている」という具合です。簡単でいいのです。

価格の動きとは、言い換えれば相場の変動です。それは無作為に起こっているのではなく、つくり手の事情、社会の事情、経済の事情などが絡み、結果、需要と供給のバランスが変わって決まっています。

たとえば、葉野菜の値段が上がるのはなぜでしょう。一つには悪天候が続くと出荷数が少なくなり、売られる個数に対して、欲しい人がたくさんいる状態になるからです。賞味期限が近いものが安くなるのは、なぜでしょう。古いものほど、欲しいと思う人が少なくなるから、スーパーは値を下げてでも売り切りたいわけです。

バターが一人1個しか買えないのは、なぜでしょう。原材料が不足していて製品が足りない、だからみんなで分け合うために個数が限定されるのです。

クイズ方式にして、こういう背景や需給の仕組みについても教えてあげれば、子どもは、身近なモノの価格変動を知ることで、相場観も身につけていきます。

もう一歩、考えを進めれば、バターが一人1個となったときに、親子で乳製品メーカーの株価をチェックすることまでできたら見上げたものです。バターが品薄になっているとき、乳製品メーカーの株はどうなっているのか……?

親の買い物に一緒に連れていくことで、日常生活から経済観念を学ぶことができ、ひいては投資家マインドを育てることにもつながるというわけです。

モノの値段や、値段が動く背景、仕組みを改まって教えようと思うと、それは大変です。でも、スーパーに買い物に行くというごく日常的な行為に含めてしまうと、子どもとの会話も弾みますし、親も新たな発見を得ることができるでしょう。もっとも効率的に親
子で学べる場所だと思います。

本書にもしばしば登場するジム・ロジャーズも、若いときにコーヒーを飲みながら、世界情勢や天候からコーヒー豆の価格の動きを予測して、投資で儲けたというエピソードを持っています。日常のなかで頭を使って、おもしろがって取り組むことをおすすめします。

菅下清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。

※本記事は、菅下清廣氏の著書『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています。

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