イエローハット <9882> の株価が堅調だ。今月16日には2619円と約1年ぶりの高値を記録、この4カ月ほどで40%を超える上昇となった。日本各地で大雪が観測されており、スタッドレスタイヤやチェーンの特需を期待した買いが入っているようだ。
株式市場では「厳冬」や「猛暑」などの天候・季節要因で物色される銘柄があり、シーズンストックと呼ばれている。イエローハットもその一つだ。しかし、実際のところ特需は期待出来るのだろうか? 詳しく見てみよう。
ラニーニャ現象で今年の冬は大雪を観測
昨年11月、気象庁はラニーニャ現象が発生していると発表した。ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米にかけての海域で海面水温が低い状態になる現象で、厳冬を引き起こす傾向が強いとされている。
実際、昨年11月には東京都心部で同月としては54年ぶりとなる「初雪」が観測され、関東甲信越の各地で例年より早い降雪が見られた。北海道でも11月6日に札幌で23センチの積雪が見られたほか、16日には旭川で35センチの積雪が観測された。札幌において「11月に20センチ以上の積雪」は統計をとり始めて以来初めてのこと。旭川でも10月29日から30日連続の積雪となり、日本気象協会によると北海道史上「最速」の根雪(長期積雪)を更新した。
そして、年明けには大寒波が到来し、北日本や北陸を中心に連日のように「大雪」が報じられているのはご存じの通りだ。
大雪関連銘柄とはどのようなものか?
冒頭でも述べた通り、株式市場では「厳冬」「猛暑」など気候変動や季節要因で物色される銘柄があり、シーズンストックと呼ばれている。
大雪、厳冬で代表的なのは、イエローハットやオートバックスセブン <9832> といった自動車用品販売会社だ。チェーン、スタッドレスタイヤなどの特需が期待出来るという連想から買われやすい。
除雪作業機を手掛けるタカキタ <6325> やナラサキ産業 <8085> 、除雪に活躍するショベル、スコップなどを製造する浅香工業 <5962> なども大雪関連銘柄だ。
今月13日、日本が大寒波に見舞われると伝えられると浅香工業は3.5%高と昨年来の高値を更新、タカキタも2.6%高となり約1年ぶりの高値を記録するなど、イエローハットとともに投資家の注目を集めた。
実際に大雪の特需は発生しているのだろうか?
ちなみに、イエローハットの有価証券報告書によると2016年3月期の品目別の売上構成はタイヤ・ホイールが30%、AV機器が12%、機能用品12%、車内・車外用品が6%、その他23%の構成となっている。
大雪でスタッドレスタイヤやチェーンが売れると、タイヤ・ホイール部門や車外用品に特需が生まれ、業績に反映するはずであるが、実際のところはどうなのだろうか?
過去数年の傾向を見ると、2013年と2014年の1月から2月にかけて大雪が観測される一方で、2015年と2016年の同時期は降雪が比較的少ない年であった。
2013年1月は、本州の南海上を巨大な低気圧が通過、 関東を中心に太平洋側で大雪となり、東京の都心で8cm、横浜で14cm、千葉で8cmの積雪が観測された。そして、イエローハットの2013年3月期の本業の利益を示す営業利益は13%の増益となった。
2014年は2月2日から2月9日にかけて、東シナ海で発達した低気圧と寒波の影響で、 中国・四国から東北にかけて大雪となり、7日に岡山で9cm、8日に千葉で33cm、東京の大手町で27cm、9日には仙台で35cmなど記録的な積雪をもたらした。さらに2月14日から16日にかけても、強烈な低気圧が低速で進行し、 関東甲信越で記録的な大雪が観測されている。イエローハットの2014年3月期の営業利益も25%の大幅な増益となった。
一方、雪の少なかった2015年3月期、2016年3月期は2期連続の減益となっている。詳細は発表されていないので、偶然かも知れないが、明らかに特需はありそうだ。
1月31日の決算発表で「特需の上乗せ」はあるか?
昨年10月31日に発表したイエローハットの2017年3月期の中間決算は、売上は1.8%増ながら営業利益は41%の大幅減益となった。冬タイヤから夏タイヤへの履き替え需要の減少、カーナビの販売減の影響によるものだ。
中間期の下方修正を受けて、2017年3月通期の会社予想の営業利益も82億円から74億円の10%減益に下方修正している。同社の第3四半期の決算発表は1月31日。「特需で上乗せがあるのか?」注目されるところである。(ZUU online 編集部)
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