三井物産の強みである資源経営からの脱皮は必要か
三井物産は、中期計画の中で7つの攻め筋と4つの重点施策として掲げています。7つとは、【ハイドロカボンチェーン(エネルギー分野から関連事業展開まで)】、【資源・素材】、【食糧と農業】、【インフラ】、【モビリティ】、【メディカル・ヘルスケア】、【衣食住と高付加サービス】と分かれており、それぞれ三井物産が行ってきた既存の事業に加えて、そこにさらに事業を縦・横に展開して次世代への案件へ事業を展開していくという試み、4つの重点施策としては、【ポートフォリオの経営重視】【グローバル展開力の深化】、【グループ経営基盤の強化】、【次世代を見据えたイノベーションの取り組み】で既存案件の収益、パイプライン整え、キャッシュフローの黒字化。グローバル展開では、新しくチリやトルコにも力をいれていことなどが挙げられています。楽観できない世界状況にも新たな事業やプロジェクトをすすめ果敢に攻めの姿勢を取っている姿勢がみられます。
最近の株価上昇傾向と今後の三井物産の経営戦略予想
三井物産は、2014年5月に、2020年の在り姿(challenge&Innovation for 2020 三井物産プレミアムの実現)というタイトルで、2020年に向けて新中期経営計画を発表しています。その内容は、優良かつ競争力のある事業からの収益拡大にむけて確実に実現していくように取組みをはじめるということ。また、その収益分はなるべく株主に還元できる事をかかげています。このごろ利益率の還元度として注目されているROEは、最近の三井物産は、2014年3月では、12.5%(米国会計基準)ですが、2017年3月には、10~12%(IFRS)とになることが予想されています。ROEは、日本会計において10%以下から10%に満たない銘柄の企業が多い中で、新しい指数に採用されたJPX日経400ではROE(株主資本利益率)が高い銘柄が採用された事もあり、注目されている指標の一つとなっています。
最近では、ROEを高めようとして、一部の企業などでは自社株買いなどを行う動きもでてきています。今後も引き続き注視される指標となる為、三井物産も重点を置いている指標としているようです。また、来期の予想ですが、直近ででたセグメント別予想では、エネルギー関連の事業が、大幅な利益の減少になる他、鉄鋼、化学品なども来期はマイナス予想です。その分機械インフラ、金属資源等は大幅な利益を見込めること、次世代、機能については、大幅な損失縮小も見込めることから、セグメント別全体の収益予想では、今期と比べては299億円の収益増となる見込みです。既存の強みを生かしながらそれを利用して次世代への機能につなげていくまたは、展開していくという事を掲げていくという戦略は、しっかりとした経営基盤からより次へと伝統を守りながら、新しい事業を取り組んでいくという姿勢が見えてきました。