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電気通信事業者協会では毎月、携帯電話の事業者別契約数を発表しています。その増減に、このところ寒い数字が上り続けているNTTドコモですが、2014年5月に、他社に先行したあるサービスを発表しました。LINEなどの通話アプリをけん制する狙いもあるようですが、このサービスを皮切りに今後のNTTドコモの行く末を考えます。


NTTドコモ 現状の業界立ち位置は

前述の資料によると、NTTドコモでiPhoneの取扱が開始された2013年9月には、替え控えもあったのか、契約件数はグループ全体で約66,000件のマイナスという記録を更新。その後10月には約37,000件のプラスに転じましたが、それでも年間平均20万件以上の契約数を持つauとSoftBankに契約数で大きく遅れを取っている状況です。

そんなNTTドコモが、2014年5月に売った大きな一手、それが他社に先んじて発表した「音声通話定額制」です。音声通話定額制は、これまで自社間でしか適応のなかった音声通話定額サービスが、他社にかけても受けられるというもの。料金は月2,700円(税抜)で、同年6月1日にサービスを開始しました。これに目を丸くしたのがSoftBankとau。これまでプラン面でNTTドコモの先を走っていた格好の2社が、この発表に足をすくわれることとなりました。SoftBankに至っては、1月に発表した新料金プランの取り下げを行ったほどです。

最終的に7月1日にSoftBankが、8月13日(予定)にauが新料金プランの提供を開始することとなり、音声通話定額は料金的には3社横並びとなりました。しかし、この動きに競合2社が揺さぶられたことは言うまでもありません。


「音声通話定額制」の先に見据える未来とは

この音声通話定額発表と同時期に、ドコモはデータ容量を家族で分け合える「パケあえる」や、LTEを使い高音質通話やビデオコールを楽しめる「VoLTE」など、新しいサービスを次々と打ち出しています。これら新サービスの提供を可能にしたのが、新基盤システム「2代目アラジン」です。

これまでNTTドコモが他社に遅れを取っていた原因の一つに、基盤システム「初代アラジン」の処理能力の遅さがありました。これまでは経営判断のスピードに、6,000万件とも言われる顧客データを抱えた初代アラジンの能力が実質的に追いついておらず、他社を引き離す新サービスを提供できない状況でした。つまり、NTTドコモが今後他社との差別化を図るためには、基盤システムの刷新が急務だったのです。

この現状を受け、基盤システムの刷新プロジェクトが開始。約3年、約500億円という金額をかけて全面刷新された2代目アラジンは、西川CIOも満足の処理能力を発揮。サービス追加によるシステムの変更スピードは、従来の約3倍の速さを実現しました。今回の音声通話定額はあくまでスタートに過ぎない。NTTドコモが見据える未来は、競合2社以上のサービスの充実、そして契約数の回復にほかなりません。