建設機械最大手のコマツ< 6301 >が電力使用量の削減に力を入れています。コマツは2010度年比電力使用量の半減を目標にしており、2014年5月末には石川県小松市の粟津工場において新組立工場を完成させ、2010年度比50%の電力削減を達成させる予定です。他国内工場でも建替を進め電力削減を推進します。コマツの省エネ経営というべき電力削減策の推進はどんな意図があるのでしょうか?当稿ではコマツが置かれている現状と併せて見て参りたいと思います。
コマツの決算は減収減益見通し
コマツの2014年3月期決算は、売上高が1兆9,536億円(前期比3.6%増)。営業利益が2,420億円(前期比18.3%増)。純利益(米国会計基準)が1,595億円(前期比26.3%増)となり、好調な決算となりました。しかし同時に発表した2015年3月期業績見通しは売上高が1兆8,800億円(前期比3.8%減)。営業利益が2,430億円(前期比1.0%増)。純利益(米国会計基準)が1,540億円(前期比3.5%減)であり、純利益ベースでの減収減益を見込んでいます。また、売上高、純利益、ROEの推移のここ3年の推移をみると(図1)、ほぼ横ばいか減少傾向にあり、右肩あがりの成長は見込める状況ではないことが分かります。
図1 コマツの2011年度~2014年度の売上高、純利益、ROEの推移
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2011年度
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2012年度
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2013年度
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2014年度*
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売上高(億円)
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19,817
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18,849
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19,536
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18,800
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純利益(億円)
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1,670
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1,263
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1,563
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1,540
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ROE(%)
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17.3
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11.5
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12.4
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11.0
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*2014年度は会社見通し 出典:コマツIR資料より筆者作成
コマツ決算苦戦の要因は?
では、コマツの決算が苦戦している要因を見て参ります。まず、コマツの売上を地域別に分けてみます。(図2)
図2 コマツの地域別売上
先進国市場
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その他市場
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日本
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3,421億円(16.9%増)
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20%
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中南米
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2,667億円(2.9%増)
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15%
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北米
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2,761億円( 0.1%減)
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16%
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アジア
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1,939億円(11.1%減)
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11%
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欧州
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1,219億円(21.5%増)
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7%
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中国
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1,620億円(35.1%増)
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9%
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オセアニア
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1,547億円(19.9%減)
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9%
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アフリカ
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1,082億円(10.4%増)
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6%
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CIS
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685億円(23.4%減)
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4%
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中近東
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553億円(10.4%増)
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4%
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計
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7,401億円
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42%
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計
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10,093億円
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58%
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コマツといえば中国関連銘柄のイメージから、中国の売上が多くを占めると思われがちですが、図2のように実際は中国以外の世界各地で稼いでいます。その中で、アジア、オセアニア、CIS地域で売り上げが大きく減少しました。中南米でも円安効果を除けば、現地通貨建ての売上は減少しています。中南米、アジア、オセアニア、CIS地域では鉱山機械の売上が多くを占めますが、金、銅、鉄鉱石、石炭などの需要が落ち込んでおり、結果として鉱山機械の売り上げが大きく落ち込みました。一方、日本や北米、中国の建機の売上は好調で、鉱山機械の減少分を補い、円安効果もあって結果として2014年3月期は増益となりました。