今後の事業環境の見通しは?
では、鉱山機械の需要の落ち込みは2014年も続くのでしょうか?決算説明会時の説明によると、コマツでは2014年も鉱山機械の需要は依然として落ち込むとの見通しを崩していません。更に、石炭、銅、鉄鉱石の価格は2014年に入り、2013年より低い価格水準で推移しており、急速に需要が増加することは考えにくい状況になっております。また、建設機械についても、日本のレンタル需要が一段落する等、あまり良い見通しは立っておりません。ゆえに、2014年度のコマツの売上高は、会社予想の通り微減で推移する可能性が高いと思われます。(図3)
図3 石炭、銅、鉄鉱石の価格推移
|
2014年5月平均
|
2013年平均
|
備考
|
石炭
|
78.95
|
90.60
|
オーストラリア産
|
銅
|
6,891
|
7,331
|
ロンドン金属取引所価格
|
鉄鉱石
|
100.56
|
136.36
|
中国の輸入価格
|
出典:世界経済のネタ帳から筆者作成 (単位:USD/トン)
コマツの「省エネ戦略」は「カイゼン」の一環
売上の伸びが期待できない状況でコマツに求められているのは資産の効率性を上げることです。コマツの省エネは50%の電力削減を目標としていますが、その内訳は以下となります。
A) 電力の見える化による省エネ
B) 生産改革
C) 代替エネルギ(太陽光)の採用
この中でコマツが最も力を入れているのが、B)生産改革です。例えば、生産機械の制御方法の見直しによる待機電力の削減、加工速度向上による加工時間短縮。また、部品加工方法の見直しによる使用電力の削減等を行うことで電力の削減を狙っています。
なぜ、コマツは生産改革による電力削減に力をいれるのでしょうか?それは、生産改革が商品力の向上に応用できるからです。例えば、生産機械の制御方法で得たノウハウはそのまま建機や鉱山機械の消費電力削減につなげることができます。また、加工時間の短縮による納期短縮は競争優位の源泉となりますし、部品加工方法の見直しができれば、メンテナンスフリーの建機や鉱山機械を作ることができます。このように、コマツの「省エネ戦略」はただの電力削減ではなく、「カイゼン」の一環として行っているのです。
省エネ戦略で筋肉質な体質へ
コマツは省エネ戦略を行うことで、会社をより筋肉質な体質にし、利益率を高めることを狙っています。鉱山機械の需要が落ち着いている今だからこそ、このような「カイゼン」ができます。この成果が製品原価の削減や利益率、ROEの向上となって現れてくるかが注目です。
【関連記事】
クボタの株価伸び悩みは今後も続く!?
成長する東南アジアの恩恵を享受する~各国市場の特徴と注目銘柄[マレーシア・インドネシア編]〜