今回は、潜在的な成長力で世界から注目を集める「東南アジア市場」を特集したいと思います。また、各国の現状を確認しつつ、投資可能な各市場の優良銘柄をいくつかご紹介したいと思います。

【参考】

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◉東南アジア注目の背景


そもそも、なぜ最近「東南アジア」が世界の注目を集めているのでしょうか。
一つの大きな要因として「強い内需」が挙げられます。

2008年にリーマンショックが起き、米国とヨーロッパが軒並み壊滅的な影響を受けました。当然ながらそれに連動する形で、日本や中国などの株式市場も軒並み下落しました。なぜかといえば、日本や中国は、欧米と実体経済で繋がっていたからです。輸出入などで極めて密接に関係していたからこそ、海の向こうで起きた金融恐慌の影響をそのまま受けてしまったのです。

一方、東南アジアはどうでしょう。東南アジアの各諸国は、日本と中国に比べて、そこまで密接に関係しておらず、むしろ「内需」に依存していたのです。だからこそ東南アジア諸国の株価への影響は限定的でした。その後、東南アジアには世界中の投資マネーが集中してくるようになったのです。

そんな東南アジア諸国ですが、いよいよ日本の各証券会社も力を入れ始めてきており、個人投資家も投資できるようになってきました。しかし、東南アジアであればどこでもいいというわけでもありません。投資先の市場を選ぶ時の注目ポイントは以下の4つだと思います。

①「市場が成熟しているか」

②「政治的リスクが高くないか」

③「政府の財務が改善傾向にあるか」

④「市場の流動性があるか」

です。

これらを総合して考えると、現状、投資先として魅力があるのは、「マレーシア」、「インドネシア」、「ベトナム」、「シンガポール」、「タイ」、「フィリピン」の6か国と言えるでしょう。

今回から、全3回に渡り、2カ国ずつ上記の国を見ていきます。
まず今回は、「マレーシア」と「インドネシア」についてお届けします。


◉マレーシア


マレーシアはマレー半島南部ならびにボルネオ島北部の2つの地域からなる国です。
この国は、残念ながら2008年以降、マイナス成長を記録してしまいました(ちなみにシンガポールも同様)。

なにせ、同国のGDPはほぼ100%輸出に相当しており、東南アジアでは珍しい『完全なる輸出依存型』の国だからです。ただ、その後の迅速な景気刺激策が十分に好影響を与え、現在、広範囲のセクターにわたって安定的な成長を取り戻しています。

以下、現地の注目銘柄を3つご紹介します。

IOIコーポレーション(IOI MK)

同社はマレーシアの大手農業生産法人。油ヤシやゴムの栽培加工を中心としていますが、子会社を通じて、不動産開発投資、造園サービス、観葉植物・芝生の販売など広域に渡りビジネスを展開しています。また、同社はマレーシア国内に80カ所のパーム・オイルのプランテーションを所有しており、その敷地面積は16.9万ヘクタール以上、インドネシアにもプランテーションを所有しています。

サイム・ダービー(SIME MK)

プランテーション、不動産開 発、重機・自動車販売、エネルギー、公共事業などの事業に従事する投資持株会社です。事業会社としてだけでなく、投資会社としても有名であり、2013年4月にも、中国山東省の関連会社2社(ウェイファン・ウェイガン・ドレッジング・プロジェクト、ウェイファン・ウェイガン・タグボート・サービシズ)を事実上買収するなど大きな動きを見せています。今後の動向に注目が集まっています。

CIMB(CIMB MK)

同行はマレーシア最大の投資・商業銀行です。部門別利益貢献度はホールセールおよび投資銀行業務が65%、リテール・バンキングは35%です。投資銀行業務ではマレーシアで第1位の他、インドネシアでもトップ集団に入っています。一方リテール・バンキングではマレーシアにおける預金残高で第4位です。
マレーシアはイスラム金融ゆえ、外資が参入する場合は、かなりの確立で、同行のような金融機関と提携する必要があります。そういった意味でも、今後、外資系企業との提携が多く見込まれるでしょう。