intellectual property
(写真=argus/Shutterstock.com)

現代社会で企業が成功を収めるためには、効果的な知的財産戦略を持つことが重要です。知的財産戦略については、政府も政策会議に「知的財産戦略本部」を設置するなど注力していますが、日本の中小企業では戦略の推進に課題を抱えているケースが多いと言われています。そもそも知的財産戦略とはどのようなものかがわからないと、効果的な戦略を立てることもできません。そこで今回は、知的財産戦略のことと、中小企業がそれを考えるべき理由についてご説明します。

知的財産戦略とは?

知的財産戦略とはどのようなものなのでしょうか。これは、特許をはじめとした知的財産を適切に管理し、将来にわたって不利益を受けないようにすることです。たとえば、大変価値の高い技術を持っていて特殊な性能の機械を製造することができても、それについて特許を取得していなければ、すぐにライバル社に類似品を作られてしまいます。このような場合、その技術や商品について事前に特許を取得していれば、不当に利益を横取りされることを防ぐ抑止力にもなりますし、もし作られたとしても差し止めなどの請求ができます。知的財産戦略を実行していないと、せっかく自社で苦労して開発した商品や技術をすべて他社に持っていかれることになるなど、大変な不利益を被ってしまうのです。

中小企業に求められる知的財産戦略とは?

それでは、中小企業に求められる知的財産戦略とはどのようなものなのでしょうか。日本の中小企業には、高い技術を持った会社がたくさんありますが、それに対して特許を取得していない企業が多くあることが、過去に三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が中小企業に対して行ったアンケート「市場攻略と知的財産戦略にかかるアンケート調査(2008年12月)」で明らかになっています。その理由としては、特許をそもそも取得していない、過去には取得していたけれども今はない、という回答が最も多く、50%を超えます。また、その原因は「知的財産についての知識不足」や「人材や資金の不足」と答えている中小企業が多かったのです。

そこで、まずは知的財産についての知識を持ち、そのための人材や資金を確保することが重要になってきます。例えば、技術に関する特許を適切に取得することにより、他社が容易に同じ分野に参入することを防ぎ、競合の増加を防ぐことができます。

中小企業に求められる知的財産の守り方とは?

中小企業が知的財産を守るためには、まず自社において知的財産戦略の何が足りないのかを考えましょう。「知的財産についての知識不足」や「人材や資金不足」によって特許を取得出来ていないケースであれば、専門家に相談したり、その分野に強い人材を雇用したりする方法によって知的財産を守ることができます。特許庁の管轄内の制度で、全国から無料で特許の相談ができる知財総合支援窓口や、民間の知財コンサルタント、弁護士、弁理士に相談することも有効です。

中小企業がするべき知的財産管理体制

中小企業が知的財産を適切に管理するためには、まずは会社全体が自社の知的財産についての意識を共有することが必要です。自社の知的財産についてまとめた資料を作り、その活用状況などを確認できるようにデータ化するとよいでしょう。そして、自社が知財を持っていることを営業や広報活動に利用したり、他社にライセンスすることなどによって市場や利益を拡大していく戦略をとったりすることも可能です。このように、適切に知財の管理と活用ができていれば、今後の企業経営にも役立つでしょう。

まずは知財の重要性を理解しよう

日本の中小企業は高い技術を持っていても、そのことを充分に認識して活用できていないなどの理由で、例えば外国企業などの参入を防ぎきれず不利益を被ることがあります。自社の強みを知り、効果的な知的財産戦略を組み立てることによって、そのような不利益を避け、むしろ自社の販路や利益を拡大していくことができます。今まで自社の知的財産戦略に重きを置いてこなかった企業は、是非とも今後は取り組みを始めてみると良いでしょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年1月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。