東京株式市場は上値の重い展開となった。日経平均株価は1万9500円付近まで上昇すると押し戻される展開が続いている。トランプ米政権の新たな施策への期待から下値不安は小さいと見られるものの、日本株の水準を押し上げるには新たな手掛かりが欲しいところでもある。
「信用売り残増加」は銀行株が目立つ
それでは、今回は東証1部の「信用売り残増加」上位10社の顔ぶれをみていこう。
(1)東芝 <6502> 5379万0000(+484万0000)
(2)三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 3205万3800(+337万7800)
(3)ヤフー <4689> 353万6100(+231万1900)
(4)エムアップ <3661> 294万7200(+225万7900)
(5)ユニチカ <3103> 966万5000(+195万8000)
(6)みずほフィナンシャルグループ <8411> 2991万5500(+136万8500)
(7)丸紅 <8002> 1724万2200(+113万7400)
(8)IHI <7013> 882万0000(+109万3000)
(9)新生銀行 <8303> 498万3000(+85万3000)
(10)日本車輌製造 <7102> 149万7000(+84万3000)
※銘柄、証券コード、売り残(前週比増)の順、2月14日現在。
信用取引の売り残と買い残は、週末時点の数字が原則翌週火曜日に更新される。今回のランキングは2月10日までの1週間に売り残が増えた順番を示している。この週は日経平均株価が週初から1万9000円付近で推移したあと、週末の10日に急伸した。原子力事業に関わる損失の全貌が明らかになりつつある東芝がトップで、その他では銀行株が目立った。
東芝、債務超過の懸念強まる
今回は「信用売り残増加」上位10社の中から東芝、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本車輌製造の3銘柄を取りあげたい。
東芝は電機大手の一角で、原子力と半導体を2本柱としている。米原子力子会社ウェスチングハウスが買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスターが、米国での原子力発電所建設に関連し巨額の損失を抱えていることが判明し、東芝本体の屋台骨を揺るがす事態となっている。
2月上旬に、東芝が2016年12月末時点で債務超過に陥っていたと一斉に報じられた。決算期の3月末までに資産を売却し、損失を穴埋めできず債務超過となれば、東証1部から2部への移動を迫られる。翌18年3月期も2期連続で債務超過となった場合は上場廃止に追い込まれる。
東芝は優良資産である半導体事業を分社化し、株式の少数持ち分を外部資本に売却することを検討していたが、現在は半導体事業そのものの売却まで検討しなくてはならなくなっている。債務超過の報道は投資家の動揺を招き、東芝株には一段の値下がりを見込んだ信用売りが膨らんでいる。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、高値圏で推移続くが
三菱UFJフィナンシャル・グループは国内最大級の民間金融グループ。11月の米大統領選でトランプ候補が当選してから株価は一本調子で上昇し、現在は高値圏でのもみあいとなっている。米国の金融規制改革などを背景に収益拡大への期待が広がり、買われやすくなっている。
6~10日は出来高がやや増加するにとどまっているが、株価は相変わらず底堅い。ただ、高値圏での推移が続いているため、ヘッジ売りや新規売りもでやすいようだ。
日本車輌製造、米高速鉄道網整備への思惑が交錯
日本車輌製造は名古屋市に本社のある鉄道車両メーカーで、JR東海の子会社である。
トランプ米大統領が航空各社の経営トップとの会談で「米国には高速鉄道がない」と述べたと伝わり、高速鉄道整備に積極的な姿勢と受け止められた。この発言を手掛かりに10日の東京株式市場では、日本車輌製造株を含めた鉄道関連株が買われた。
日本車輌製造株には、短期筋と見られる信用買いが膨らんだが、その一方で株高を一時的な動きとみた向きの信用売りで売り残も増加するなど強弱の思惑が交錯した。翌週(13~17日)には期待感からの買いが一巡し、株価は伸び悩んでいる。(ZUU online 編集部)
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