今回は7月23日に東証二部に上場する日本ビューホテルグループ〈 6097 〉の初値の分析をしていきたいと思います。
日本ビューホテルの事業概要
日本ビューホテルグループは、当社(日本ビューホテル㈱)、連結子会社(那須興業㈱、日本ビューホテル事業㈱、ファミリー観光㈲)、非連結子会社(㈲那須牧場)の計5社で構成され、ホテル事業、施設運営事業および遊園地事業を主要な事業としています。
事業内容としては以下となっています。
1.ホテル事業
「VIEW HOTEL」ブランドによるホテルを直接経営しています。郡山については運営子会社の株式売却に伴い、運営指導を行っています。シティホテル型とリゾートホテル型があり、立地や規模に応じて客室の他、レストラン・バーなどの料飲施設、結婚式場、宴会場、会議室等を設置し、宿泊、料飲、宴会・婚礼の各部門を営業しています。
2.施設運営事業
「VIEW HOTEL」ブランド以外のホテルや旅館、保養所の経営や運営業務受託、運営指導を行っています。また、「VIEW HOTEL」ブランドを用いたフランチャイズチェーンも展開しています。
3.遊園地事業
レジャー施設「那須りんどう湖 LAKE VIEW(旧りんどう湖ファミリー牧場)」を運営しています。
各事業の売上高構成はホテル事業84.6%、施設運営事業8.2%、遊園地事業7.2%となっており、特に旗艦ホテルの浅草ビューホテルの売上構成割合が半分以上を占めています。ここで売上の半分以上を占める浅草ビューホテルの概要について少し触れたいと思います。浅草ビューホテルは1985年に国際通り沿いに開業した地上28階地下3階建てのホテルです。 342室ある客室の壁面には小窓が設けてあり、隅田川の花火以外に、三社祭の活気、浅草寺の除夜の鐘の生の音を楽しむことが出来ます。特に東京スカイツリーを眺めることのできる27階東側のレストランでは、「世界一の夜景」をPRしています。
伝統とモダンをミックスした下町浅草で、宿泊、ウェディング、レストラン、宴会、法宴などもでき、ショップや温水プールもあるホテルです。浅草の伝統あるホテルなので、東武バスセントラル(スカイツリーシャトル)や東京空港交通のバスには「浅草ビューホテル」というバス停名まである程です。国内・海外問わず多くの方が宿泊に利用しています。
(※浅草ビューホテル客室からの眺望)
ホテル業界の動向
近年、ホテル業界では稼働率の上昇傾向が見られます。その背景として、①円安②訪日外国人数増加があります。それに加え、日本ビューホテル株式会社の一番の稼ぎ頭である浅草ビューホテルは東京スカイツリー効果もあり、一際たかい稼働率を誇っています。②の訪日外国人数増加の要因としては中国人向けや東南アジア諸国連合(ASEAN)向け観光ビザの発給要件緩和のほか、入国管理手続きの改善など受け入れ体制の整備、格安航空会社(LCC)の就航拡大・増便などがあります。昨年の訪日外国人数は初めて1000万人を超えたものの、依然として日本は訪日外国人数が低い水準になっています。2020年に開催される東京オリンピックの効果もあり、今後も訪日外国人数は伸びていく余地が大きいと考えられます。
ホテル事業の懸念材料
ホテルの売上は①部屋数②一部屋当たり単価③稼働率として表されます。売上を伸ばすには①〜③に対してアプローチする必要があります。日本ビューホテルの場合、旗艦ホテルの浅草は稼働率が9割弱(12.4期89.3%、13.4期87.9%、14.4期3Q累計89.3%)と他ホテルよりも高くなっています。現状でこの水準の高さは評価出来るものの、今後の訪日外国人数が増加してもそこまで稼働率を上げる余地がないのでは、と考えられます。従って②の宿泊料金の改訂などが考えられますが、料金を上げて客足がどのくらい減るか、というのは予測は難しいので、料金体系の改訂も踏み切るのは難しいです。①に関しては日本ビューホテルは積極的にホテルや施設のポートフォリオを増やしていますが、都心ではなく郊外などのリゾート施設が多いため、訪日外国人数増加の恩恵を直接的には受けられないという懸念もあります。