韓国観光公社が2017年2月13日に発表した2016年度の訪韓日本人は、対前年比23.4%増の229万7893人で、4年ぶりに増加した。訪韓日本人客数が増加に転じたのは、15年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意で、二国間関係が改善したことが一因とみられている。
訪韓日本人は2012年の341万8792人をピークに減少に転じ、2013年は前年比21.9%減の263万3959人、日韓国交回復50周年の2015年にはMERS(中東呼吸器症候群)の影響もあり、174万2531人と2002年サッカーW杯共同開催以降で最も少なくなっていた。
日本人観光客250万人を目指す
2016年末の釜山領事館前の慰安婦像設置や日本大使の一時帰国などで政治的な緊張は高まっているものの、予約キャンセルなどは見られず、韓国観光公社は2017年度も増加傾向が続くだろうという見通しを示している。2016年度に日本を訪れた韓国人は訪日韓国人2.2倍にあたる509万300人で、はじめて500万人台に達している。
2017年1月23日、韓国観光公社は2017年の年間事業計画を発表している。目標は「外国人観光客2000万人突破に向けた土台作り」で、情報通信技術(ICT)サービスの拡大、ブームアップ平昌冬季オリンピック、訪韓市場の多角化、中国市場の体質改善、日本市場の再攻略、プレミアム商品の開発、観光ベンチャー・人材育成を掲げた。日本市場の韓国再攻略では、修学旅行の誘致や百済文化の観光商品開発など、日本人観光客250万人を目指すという。
歴史教科書ツアーで日本人を誘致
中央日報によると、韓国忠清南道は日本から修学旅行を誘致する旅行商品の開発に乗り出している。日本の歴史教科書に「百済史」が記述されている点に注目し、歴史ツアーで観光客を誘致するという戦略である。韓国の道は日本の県に相当する。
2015年に百済歴史遺跡区がユネスコ世界文化遺産に登録されてから、忠清南道にある百済古都の公州や扶余を訪れる日本人観光客が増加、2017年度には4万人余りが訪れると予想し、歴史教科書ツアー商品を開発する計画という。新しく開発する旅行商品は「百済夜!」という名で日本に紹介し、修学旅行生や過去に公州や扶余を修学旅行で訪れた中高年層のリピーター、韓国語を学んでいる30~40代の日本女性の誘客も強化する予定で、外国人観光客のホームステイを希望する20家庭を選抜する。
平昌五輪会場が日の丸で埋め尽くされる?
冬季オリンピックを1年後に控えた2017年2月、開催地となる江原道平昌では多くのテスト大会が実施されたが、韓国人の関心はいまひとつだ。韓国ギャラップの調査によると、「平昌五輪に関心がある」と答えた人は48%で、2014年ソチオリンピック開幕前の64%を下回る。関心がないと答えた人は50%だった。
江陵で開催されたフィギュアスケートの4大陸選手権は活況を呈したが、日本人選手を応援するために訪れた日本団体客と日本の国旗で会場が埋め尽くされたからだという。会場には、日本のテレビ視聴者を意識した広告が並び、日本語だけで書かれた広告もあった。スキージャンプも高梨沙羅選手を応援する日本人でにぎわったと朝鮮日報は伝えている。(韓国在住CFP 佐々木和義)