NTTが光回線を開放したことによる今後の経営戦略について説明していきたいと思います。2014年5月13日、NTTは光回線サービスの解放を発表しています。光回線を開放することで、NTTはこれまで営業してきた直販スタイルから卸売スタイルに転換することになりますから、今後は各通信事業者への卸売りとしてある意味安定的な収入を得ることになるでしょう。
NTTが光回線を開放した理由
インターネット通信サービスの普及も上限に達した。NTTは今から13年前の2001年に「フレッツ光」というネーミングでブロードバンド通信回線を一般消費者に販売開始しました。身に覚えのある方も多いと思いますが、一般宅に営業電話がかかってきたり、家電量販店などで販売されている通信回線のことです。しかし、近年はスマートフォンの普及に伴いインターネット通信環境が多様化。
最近ではLTEという高速通信回線も登場しています。そのため一般宅におけるインターネット回線は上限に達しており今後の成長が見込みにくいため今回NTTは光回線開放に至ったと考えられます。光回線の開放におけるNTTのメリットは安定収入と販売管理費の削減。これまでの小売スタイルでは販売代理店へのコミッションや管理費用などが発生しておりましたが、解放後の卸売りスタイルでは通信事業者から費用を徴収する形式となるため、小売好調時よりも売上は劣ることになりますが今後大幅な衰退も考えづらい形となっています。
固定回線販売が頭打ち
2014年5月30日に総務省から発表された平成23年通信利用動向調査によると、人口に対するインターネットの普及率は約80%に達しています。これは高齢者や子どもを除くほとんどの人に対してインターネットが普及しきっていることを示している数字と言えるでしょう。そのような市場の中、新規の回線を増やし続けるのは難しく、契約があったとしても引っ越しに伴う回線の解約から発生する新規契約のみとなっており純粋な利用者の増加は見込めそうにありません。
このような状態で新規獲得に向けた営業にコストをかけるのは誰が考えても非効率ですから、今回のNTTの発表は特別なことではなく当たり前のことなのかもしれません。また平均して月に4,000円程度の費用が発生していた光回線ですが、今後は各通信事業者による値下げ合戦が始まるものとみられ、一般消費者にはこれまでよりも安い金額でインターネット回線を利用できるようになる可能性もあります。