ドコモのセット割 「独占規制」逃れとの声も
これまでNTTは携帯や固定電話の契約数が圧倒的なシェアを誇っており独占規制が発生していました。これによってドコモは大きくシェアを落とす形になりましたが、今回の光回線を開放するという手段によってドコモは携帯電話とインターネット回線のセット割を提供できることになります。ここについての問題でソフトバンクの孫正義氏が猛烈に反発していると報じられていますが、これに対してNTTは市場飽和を指摘しており、独占規制逃れには該当しないという言い分となっているようです。当然光回線の開放はドコモだけでなく通信事業者やこれから通信事業に参入を検討している企業にとって幅広く回線が提供されることになります。しかし、携帯電話や固定電話で圧倒的なシェアを誇るドコモがインターネット回線を扱えるようになるということは、通信大手企業にとっては顧客の奪い合いという観点からすると強力な武器を持たれてしまったという印象を受けるでしょう。
ソフトバンクをはじめとする通信事業者の抗議
NTTは市場飽和を指摘し光回線の開放を発表しましたが、これに対してソフトバンクやKDDIをはじめとする60以上の通信事業者は公正な競争ができる場ではないと総務大臣に要望書を提出しています。結果的に光回線は開放され、市場的にはドコモ優位の形になることが予想されています。そのため各通信事業者は今後インターネット回線やスマートフォン、タブレット端末だけでなく新しい事業に着手していく必要性が出てきたのではないでしょうか。今回の光回線開放によってNTTはNTT単体の収益ではなくグループの増収を視野にいれた策ということも考えられます。
ドコモの独占市場にその他大勢という構図か
今回の光回線開放によって大きな恩恵を受けるのは、これまでインターネット回線とスマートフォンやタブレット端末のセット割を行うことができなかったNTTドコモ、さらにはNTTグループということになりそうです。さらにドコモはこの発表に合わせるかのように昨年からiPhone、iPadの取り扱いを開始しソフトバンク、KDDIと足並みをそろえる形となりました。
これによってソフトバンク、KDDIは自社の顧客流出を何としても防ぐ必要があり、より一層競争が激化してくることが予想されます。一方光回線の開放によって通信回線を持たない企業でも通信事業に参入することができるようになりました。そのため今後は大手には行き届かないきめ細やかなサービスを提供することができる通信サービスが誕生するかもしれません。光回線の卸売りは年内をめどに提供されるとのことですので2015年は通信業界が大きく変わってくるかもしれませんね。