金融機関がこぞってデジタル改革に乗りだした今、優秀なテクノロジー人材をめぐり激しい奪略戦が繰り広げられている。

ヘッジファンドも例外ではない。大学への出資や課題形式のコンペティションを開催するなど、より多くの技術者を惹きつけるためにユニークなアプローチを用いている。ライバルと同じことをしていては、「才能の原石」は発見できない時代だ。

「資力と信用はあっても、技術と経験がない」銀行のジレンマに挑戦

AI(人工知能)や機械学習、ビッグデータなどに未来を見いだしているのは、ヘッジファンドも同様だ。テクノロジーの導入は、継続的な成長を目指すうえで不可欠となる。しかし対応を試みると、たちまち人材不足という巨大な壁が立ちふさがる。

大手金融機関にありがちな「資力と信用はあっても、肝心の技術と経験がない」というジレンマ。その解消策としてヘッジファンドの注目を集めだしたのが、コンペティションをとおした人材確保だ。

米大手ヘッジファンド、ツーシグマ・インベストメントは「Kaggle」を利用。「Kaggle」は開発者や企業が投稿したデータを基に、世界中のデータ・サイエンティストが最適モデルの構築を競うあうコンペティション・プラットフォームだ。登録者数は70万人を超える。

現在ツーシグマは「Kaggle」上で、「財務モデリング・チャレンジ」と称したコード・コンペティションを実施中だ。優勝者には10万ドルの賞金とともに、就職のチャンスも贈られる。

同じくクオンツ投資が得意な米投資管理会社、WorldQuantは、「WorldQuant Challenge」というプログラムをとおして人材発掘に乗りだしている。このプログラムは金融に興味のある技術者に無料で知識を提供し、段階をおって予測モデルを構築していくというものだ。参加者は期限内に課題をこなし、各ステージをクリアする必要がある。

また一部の英ヘッジファンドは大学と直接提携関係を結んでいる。ヘッジファンド産業の老舗、マン・グループが、オックスフォード大学に機械学習用金融センターを開設したのはその一例だ。またカンタブ・キャピタル・パートナーズは、地元ケンブリッジ大学に情報数学センターを設立した。( FinTech online編集部

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