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(写真=spectrumblue/Shutterstock.com)

福利厚生のなかに、会社が従業員の家賃の一部を負担する家賃補助があります。もし従業員がマイホームを購入した場合でも、継続して家賃補助を支給していくことになるのでしょうか。

今回は、賃貸と持ち家の福利厚生の違いについて考えていきます。

持ち家の場合、家賃補助はもらえるの?

家賃補助は賃貸住宅や社宅に住む場合、会社が家賃の一部を負担します。

持ち家の場合は、基本的に家賃補助をもらうことはできません。しかし、家賃補助の支給要件は会社ごとに異なります。もし支給要件に「持ち家の場合の金銭補助に関する記載」があれば支給されます。マイホームを購入する際は、該当する支給要件があるか会社に確認してみましょう。

家賃補助がある賃貸と家賃補助のない持ち家、どちらがお得?

従業員にとって賃貸と持ち家ではどちらが得になるのか、それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。

持ち家のメリットは、自分の家として安心感や満足感を得ることができる点にあります。賃貸とは異なり、好みに合わせて自由にリフォームして好きな空間を作ることも可能です。また、財産として地価が上昇した場合に高く売れる可能性もあります。

持ち家のデメリットは、基本的に家賃補助がないことです。家賃補助は会社によって支給額が異なりますが、厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査』のレポートによると、住宅手当は全体のおよそ45.8%支給されており、平均支給額は1万7,000円となります。支給金額の差は数年単位ならば気にならないかもしれませんが、これを数十年単位の長期間で考えると大きな差になります。そのほか、持ち家の場合、住宅ローンや固定資産税などさまざまな費用がかかります。

賃貸のメリットは、家賃補助を受けながら家を借りられることです。マイホームを購入しローンを払い続ける場合と比較して、月々の経済状況を考えると有利になることが多いと考えられます。また、生活状況の変化に応じて引っ越しをすることも可能です。

賃貸のデメリットは、「退去時にもとの状態に戻すこと」が原則なため、退去時に修繕費用を請求される可能性があることです。なるべく費用がかからないように、壁や床などにキズをつけないように気をつけて住まなければいけません。また、退職した場合には家賃補助が出なくなるため、賃貸物件にかかる費用も大きくなります。

マイホーム購入で実は損をする?

30歳から60歳までの家賃補助の総額を単純計算すると、1ヵ月あたりの家賃補助を1万7,000円と考えた場合、612万円と計算できます。マイホームを購入すると基本的には家賃補助支給要件には該当しないため、上記の家賃手当は支給されなくなると考えたほうがよいでしょう。住宅手当がある場合でも、家賃補助よりも支給額は抑えられていることが一般的です。

若いうちにマイホームを購入する場合、住宅ローンの返済額が賃貸より高額になるうえに、家賃補助を受けることができない状況になることが考えられます。反対に、賃貸に住んで家賃補助分を貯蓄にまわし、頭金を増やしてからマイホームを購入すると実質的な負担は軽くなります。早期のマイホーム購入は、家賃補助の観点からみると損をしているといえるかもしれません。

何を優先して考えるか?

持ち家の場合は家賃補助が支給されない会社が多いため、家賃補助の支給額を数十年単位で考えると大きな差が出ます。このような観点から、持ち家にするか賃貸にするかを考えてみるのもよいかもしれません。

会社の支給要件を確認したり、シミュレーションをしたりするなど、マイホームを購入する前に十分に検討することをおすすめします。(提供: フクリ!

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