第1回ではマンション投資の概要を解説した。今回はマンション投資のメリットとデメリットをご紹介する。特にデメリットについては詳細まで理解することが成功へのカギとなる。
<前回の記事>
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「マンション投資」の仕組みと注目されている理由とは?【第1回】
<次回の記事>
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マンション投資の「利回り」とは?融資の種類と活用法【第3回】
マンション投資における一般的なメリットとデメリット
どの不動産にでも「収益」には2種類ある。
- インカムゲイン…資産保有のより定期的に安定した収入を得ることができることを指す。不動産投資では家賃(賃料)収入
- キャピタルゲイン…資産価値の上昇により得られる利益。不動産価格が上がり売却することで得られる利益のこと
言うまでもないが毎月安定した家賃収入を得ながら、不動産価値が上がった時点で売却し利益を得ることが最高の不動産投資である。一方株式やFXでは主にキャピタルゲインを狙った投資になる。株式でも配当が得られるが不動産投資のように毎月一定の収入が得られるわけではない。このような観点からメリットは次のようになる
【メリット】
- 株式や他の金融資産投資と違い、毎月のインカムゲインが得られるという点
- 物件を担保に入れてローンで購入することができる(レバレッジを活用できる)
- 本業を持っている人(サラリーマンなど)でも運用することが可能
マンション投資に特化したメリットとしては、不動産の中でも流通の多いタイプだということだ。さらには手頃なワンルームマンションから高価なタワーマンションまで予算にあった資産を選択することができる。
【デメリット】
- 空室による家賃収入ゼロの可能性
- 付近の競合物件に影響される家賃の値下げや老朽化によるリフォーム等でのマイナス経営
- 売却したくても資産価値が下がってしまう可能性
空室だと収入がゼロになってしまい、それでも毎月の管理費等は支払わなければならない。また売却したくても購入価格より価値が下落してしまうリスクがあるということだ。
マンションのタイプ別にみるリスク
上述はどのマンションにも共通したメリットとデメリットである。しかしマンションのタイプによってリスクには少し違いがみられる。
- ワンルームマンション投資のリスク
最も流通性が高く手頃な価格で購入できる物件が多いのがワンルームマンションだ。それがリスクになることもある。似たような競合物件が多いので空室率が高めになる恐れがある。
- ファミリーマンション投資のリスク
規模が大きくなるため価格もやや高めになる。ある程度の自己資金も必要になるうえ、不動産投資向けのローンも通りにくくなる。またワンルームマンションに比べるターゲット層の数も少なくなるため空室になると客付けが難しいことは否定できない。そして家族タイプのマンションではワンルームマンションよりも「管理規定」が細かい。住居専用としての用途制限や共有部分の規定についても自由がききにくくリフォームなどにも制限がかかりやすい。
- 地方、都市部別にみたリスク
地方は圧倒的な人口の少なさからワンルームマンションの投資にはどうしてもリスクが伴う。一方都市部では競合物件が多いため、おなじタイプのマンションでも立地や築年数で不利になると入居付けが難しくなる。その場所での需共のバランスを調べないと大きなリスクを伴う。
失敗実例から学ぶ成功へのポイント
先ほどのリスクを事前に理解せずにマンション投資を始めてしまうと必ずと言っていいほど失敗する。いいことばかりが並べられた情報が多いが中には失敗例が綴れているものもある。その中から学べることは非常に大きい。具体的な回避策を次のようにたてるといい。
- 節税という言葉に絶対に惑わされない。マンション投資で「収益を得る」ことを目的にすることを第一とする。
- 「購入できる物件」が「収益性の高い物件」ではない。ローン可能額満額での購入や、割安すぎて客付けのしにくい物件を買うと成功は得られない。
- 「地方か都市部か」ではなくその物件エリアの需要と供給のバランスを念入りに調査した上での収益性を精査する必要がある。
これまでの解説で、メリット、デメリット、そしてリスクについて理解していただけただろう。マンション投資で成功するためにはこのデメリット部分を制すればメリットは自然に得られるしくみになっている。多くの失敗例にはメリットの部分だけを見ただけで手を出してしまっている場合が多い。メリット面全ての恩恵を受けるためには次のようなスタンスを維持しなくてはいけない。
「常に満室経営を維持し、老朽化やリフォームに備えた余剰金も確保し、何年後かに購入価格を下回る価格で万が一売却してもトータルで収益が得られる投資」である。
長年に渡り家賃収入を得、売却した時点でもトータルでプラスを得るためには利回りやキャッシュフロー、ローンの正しい活用術が重要である。次の回ではその点をご説明させていただく。(片岡美穂、行政書士・元土地家屋調査士)