マンション投資,収益性
(写真=PIXTA )

いよいよシリーズ後半に入った「マンション投資」の第一歩を解説する6回連載。今回は収益性の高い物件を選ぶポイントをご紹介する。前回の利回りやキャッシュフローの考え方をもう一度思い出しながら読み進めて欲しい。

<前回の記事>
マンション投資の「利回り」とは?融資の種類と活用法【第3回】

<次回の記事>
「節税対策」は本当?マンション投資の税金や諸経費を解説【第5回】

机上でありとあらゆるシミュレーションをする

今は収益物件もネットの検索サイトで見つけることが一般的だ。最初の物件はいきなり業者に飛び込んで紹介してもらうより、ネットで探すことをお勧めする。こちらに万全の準備がないのに飛び込んで業者の勧めるマンションで契約してしまう人があまりのも多いからだ。一度も取引をしたことのない人に最初から収益性の高い物件を紹介してくれるありがたい業者はいないと考えたほうがいい。

最初は一般ユーザーサイトでマンションを探すよりも収益物件検索サイトのほうが、想定家賃や利回りが記載されているため参考にしやすい。しかし現況が空室と表示されている場合は業者が想定している家賃であるため信ぴょう性にはかける。賃貸物件サイトで近隣の家賃相場を調べると同時に周辺の空室率も確認しておく。

価格と相場家賃的に利回りがいい物件を見つけたら、キャッシュフロー試算を行う。融資返済額の計算はアプリなどを活用し、維持管理費、借入額、金利、返済期間、賃貸経営サイトで調べた空室率などを盛り込み、シビアな金額を算出していく。

ほとんどの物件が赤字のキャッシュフローになるかもしれない。それでもこまめに物件ごとにシュミレーションしていくと収益性の見込める物件に出会える。あと少し価格が下がるならいけると思った物件はプールしておく。表示されている価格には指値(値引き交渉)の幅を見越していることが多いためその交渉の材料をそろえていく。

百聞は一見にしかず、内覧の重要性

投資家の中には、お宝物件をネットで見つけたらグーグルビューで確認するだけで買い付けを入れるという人もいる。しかし絶対に同じ真似をしてはいけない。確かにお宝物件はすぐに買い付けが入ってしまう可能性が高い。しかし内覧をしないで購入するには相当のリスクが伴う。写真ではわからない部分に思わぬ修繕費がかかったり、何年も前の写真を掲載していて実際にはかなり老朽していたりというケースは少なくない。必ず内覧をして自分の目でチェックする。

内覧時には売却の担当者と直接物件内で交渉できるチャンスでもある。机上で念入りに試算した根拠のあるキャッシュフローを元に、価格の交渉や引渡の条件を行うことは良い物件を得るための鉄則である。

割高、割安物件を見分けるコツ

収益性の高いマンションを選ぶには、その物件が割高なのか割安なのかをまず見極めなければならない。前回説明したキャッシュフロー的な試算と現地での物件を見極める目を養うことが収益性の高い物件を購入できる重要なプロセスとなる。

利回りの信ぴょう性

想定家賃があまりにも現実的ではない物件はシビアに収支試算すると割高物件であることが少なくない。きっちりと計算すると割に合わない物件だから、表面利回りで客寄せをしている可能性を否定できない。ネットで相場家賃などを調べておき、現地に行った際には近隣の空室状況、付近の不動産業者のマイソク(販売パネル)なども調査して家賃の信ぴょう性をしる。

内装、設備の状態

利回りに有る程度の信ぴょう性が持てる物件で既にリフォームがされていたり、家賃の取れやすい施しが済んでいる場合もある。また建物自体が古いマンションでは共用部分の清掃や修繕の行き届いている物件かどうかも大きなポイントだ。駐輪場やごみ置き場などの管理に関する状況は一室の所有者になったからといってすぐに改善してもらうことは簡単ではない。古くても既に管理組合のきっちりしているマンションはお宝物件へとなり得る

入居者付け難易度

立地、周辺環境、外観からの写真、をできるだけネットで調べてみる。駅から近くても駅前には何もない、一方遠くても物件周辺に便利な施設が多いなどである。ワンルームマンションなら医療施設や学校よりもコンビニと手軽なスーパーは必須だ。またファミリー層ターゲットであるなら、小、中学校区の口コミサイトが地域の様子を知るために役立つ。

総合収支が可能かどうか

最終的には家賃での収益性と併せてキャピタルゲインでの収益性の可能性も探る。

少し難しい話になるが、積算価格から割安度をたたき出すこともできる。

  • マンションの土地の路線価×敷地権割合×2分の1=土地の積算価格 (2分の1にしているのはマンションの土地は自由に処分できないから)
  • 平方メートル当たりの単価×床面積×(耐用年数―経過年数)÷経過年数=専有部分の積算価格(平方メートル当たりの単価はRCの場合20万円で計算)

この積算価格よりも低い価格で売りに出されている物件は割安感がある。銀行が融資を決める際にも参考にする価格のため、実質的な価格が割り出せると言っていい。現在の積算価格と5年後、10年後にはどうなっているのかを試算して総合収支が可能になるのか判断する材料にすることができる。
後半はやや複雑な内容になってしまったが、成功している投資家が実践していることばかりである。一室目はついつい勢いで購入してしまいだが、収益性の高い物件を得たいのであれば必ず実践して欲しい内容ばかりだ。

次回はマンション投資に関わる税金面を解説する。(片岡美穂、行政書士・元土地家屋調査士)