国際標準化機構金融サービス委員会(ISO/TC68)は3月9日、FinTechアドバイザリー・グループ(TAG)の設立を発表した。
データおよびテクノロジー分野における国際規格の需要の高まりに応え、アドバイザリー委員会的な役割を提供するとともに、金融機関、規制当局、FinTech企業との密接な関係の構築を目指す。
FinTechコミュニティーと提携し、様々な課題に取り組む
スイスのジュネーブを本拠とするISOは、製品・技術・医療などあらゆる分野の国際基準を策定、提供する非政府組織だ。日本の工業標準調査会のほか、欧米の米規格協会が参加している。
その金融サービス部門が中心となって設立したTAGでは、民間機関を含むFinTechコミュニティーと提携してFinTechの社会認識を広めていくほか、積極的に働きかけていくほか、国際基準の策定、問題点の改善、情報の共有など、様々な課題に取り組んでいく。
世界各地でFinTech競争が繰り広げられているにつれ、徐々に政府によるガイドラインや規制基盤が築かれ始めている。しかし基準点は各地域によって異なり、現時点では絶対的な国際基準というものは存在しない。統合化されたガイダンスがないということは、極端にいえば安全性や品質の管理・向上といった面で指針とするものがないということだ。FinTechを発展させるうえで、理想的な環境とはいいがたい。
そこで発足したのがTAGである。首脳陣には2014年、LEI(取引主体識別コード/金融商品の国際取引に用いられる識別番号)促進の意図で設立された独NPO法人、Global Legal Entity Identifier Foundationのステファン・ウルフ会長兼CEO、豪決済協会(APCA)のニック・クリフ会長などそうそうたる顔ぶれを向かえ、FinTechの普及向上に最適な環境を創りあげていく。
詳細については5月開催予定のTC68会合で、具体的な話し合いの場がもたれる。ロンドンの金融機関、JWGグループのディ・ジアマリーノCEOは、「民間、公共セクターともに、事業を展開するうえで共通の基準が重要な役割を果たすと認識している」とし、TAGの設立が歓迎されると確信している。( FinTech online編集部 )
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