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6月にマイナス金利導入を発表したECB。不胎化オペの停止を行うなど、実質的に量的緩和に着手しました。日本は引き続き、現在の金融緩和を続けていく見込みです。日欧で広がる金融緩和とは様相を異にし、アメリカでは、景気拡大に伴う緩和の終了をどのような形で持っていくかが問題となりつつあります。現在、量的緩和を徐々に縮小している段階。金融資産購入額は850億ドルから、100億ドルずつ減少し、現在は350億となっています。この購入額は、今年10月には0となる見通しです。量的緩和終了後も、FRBが既に買い入れた資産は引き続き保有する見込み。現在ゼロに設定されている政策金利も解除される日がいつになるかと市場関係者が注目しています。

アメリカは世界の資金を集める中心地です。アメリカが量的緩和縮小を発表したときには、多くの新興国に滞留していたマネーが引き上げられ、アメリカに還流しました。縮小ペースが穏やかなことが市場関係者に了解されて以降は、一度還流されたマネーも再び世界中に散らばっていきましたが、今後、アメリカの金利上昇、縮小の出口次第では、多くの資金が再度アメリカに還流していくことでしょう。

では、市場関係者の注目を集めている米ゼロ金利解除がいつになるのか、について見ていくこととしましょう。


雇用統計は順調に回復中?

FOMCの判断基準として大きな役目を果たすのが、米雇用統計。6月の雇用統計では、前月比の雇用者増加数は28万8000人となり、市場の予想を大きく上回りました(非農業部門)。失業率も6年ぶりといえる水準である6.1に低下しました。また、イエレンFRB議長は平均時給にも着目。この数値も前年同月比2%増となりました。

この調子で失業率が下がり続ければ、早期の利上げも視野に入ってくる見込みがあります。ただ、市場関係者予測よりも大幅な改善を示す雇用統計ではありますが、イエレン議長は慎重な姿勢をとっており、雇用統計の改善だけでは、利上げに踏み切るとは言えないでしょう。


インフレ目標は2%以上

7月15日に行われた米議会上院銀行委員会での定例証言で、FRB議長はゼロ金利解除には、米インフレ率が2%を長期的・安定的に超えることが必要であると述べました。同時に現在の米インフレ率は1.5%の低水準にとどまると指摘。米経済が順調に回復し、インフレ率が上昇することがゼロ金利の解除の目安となってくるでしょう。引き続きインフレ率を確認していくことが重要となってきます。