子会社のカネボウ化粧品が引き起こした白斑問題がメディアで取り沙汰された花王ですが、2013年12月期の連結決算は、売上高1兆3152億円、純利益が647億円となり9年ぶりの最高益を記録しました(ただし、円安の寄与698億円を含む)。美白化粧品の白斑問題で買い控えが広がったものの、最終的には最高益となった事情とは何なのでしょうか?
白斑問題が業績に影響、日用品事業の売上げでカバー
花王は、白斑問題の売上げへの影響規模について当初は売上高100億円、営業利益ベースでは60億円のマイナスと見ていました。しかし、メディアの報道が過熱したことも影響して、買い控えが予想以上の広がりとなり、売上高では約120億円の損失となりました。営業利益ベースでは店舗からの返品による損失が24億円、自主回収にかかる費用や治療費などにかけた特別損失が97億円にのぼり、合計で121億円を計上しています。花王は売上げの落ち込みをおむつやサニタリー等の日用品事業でカバーしました。特に、洗剤の「ウルトラアタックNeo」などの新商品が好調となり、アジア地域での紙おむつの販売も伸びました。売上げの落ち込みを、円安による追い風という好要因と日用品の好調な販売でカバーした形になっています。しかし、白斑問題は完全に解決したわけではなく、症状を訴える人は全国で1万人にも登ります。カネボウは、今後も対応を迫られていくことになるでしょう。
好調な花王を支えるデータ経営とは?
花王本社の9階に「デジタルビジネスマネジメント(DBM)室」という部署があります。およそ10年前に設立されたというこの部署は、販売における数値データやSNS上の口コミ情報など、ありとあらゆるデータを収集、分析を行いマーケティングに役立てていると言います。現在6名程度のデータサイエンティストから構成される組織ですが、その顔ぶれは多種多様で、データ分析スキル、統計学・数学、プログラミングスキルに長けた人員が揃っています。「No Analysis, No Strategy(分析なくして、戦略なし)」という特徴的なスローガンの元、購買履歴を元に消費者の購買ルールの解析を行ったり、FacebookやTwitter上の口コミの解析を行ってネガポジ分析(ネガティブ・ポジティブ判定:人の発言が前向きか後ろ向きか判定していく)を行ったりと、今後のマーケティングに役立てる等の解析を日々行っています。