リニア計画の費用上昇リスク

しかし筆者は、リニア計画の資金計画には以下3点の下振れリスクがあると考えております。

(1)      東京五輪等開催による資材、建築費の上昇

(2)      長期金利の上昇

(3)      大規模地震で東海道新幹線が止まるリスク

まず建築費の上昇ですが、マンションや東京五輪の会場、公共施設の入札が建築費の上昇で落差せずに終わるニュースを最近聞きます。もし、2割建築費が上昇すれば、リニアの場合1兆円の建設費増となります。長期金利についても国債金利がいつかは上昇すると言われている中、上昇が考えられます。また、大規模地震で東海道新幹線が止まり、収入が減ることも考えられます。東日本大震災におけるJR東日本の鉄道収入の減収幅は約1,100億円なので、東海道新幹線沿岸で大規模地震が発生すればこのくらいの減収が発生する可能性はあります。


リニア計画は財務面でネガティブインパクトの可能性がある

故に、リニア計画は財務面でネガティブインパクト、特に建築費の上昇と長期金利の上昇でネガティブサプライズが将来起きることが考えられます。建設費の上昇は避けることはできませんが、財務戦略によって金利上昇を抑えることがネガティブサプライズを避けるためのカギとなるでしょう。

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