ドル円予想レンジ 110.20- - 113.00
「the Trump administration is “assessing the scope of its power to penalize countries whose currencies it believes are undervalued,”(トランプ政権は通貨を人為的に安くし貿易において競争力を強めている諸国に対して、ペナルティを科す手段を模索している)」-。これは3/30に米経済専門番組が報じた観測だ。具体的な詳細には触れていないが、円を脅かすには十分な牽制と筆者は推考している。
円が様子見る「トランプ」VS「習近平」
「(諸肌脱いで)この背中に咲いた桜吹雪、散らせるモンなら散らしてみろい」。ご存じ、江戸町奉行・遠山金四郎を主人公にした時代劇での名台詞だが、市場が警戒しているのもトランプ大統領が中国に対して強硬な啖呵を切るのか否かとなろう。
大統領選挙中には公約として中国を、就任初日に為替操作国に認定すると表明していた。中国が人民元安を誘導し、対米貿易黒字を強めているというのが理由だが、遂に中国の習近平国家主席は4/6に訪米し、トランプ米大統領と会談するこことなった。直接対決の場面である。
トランプ政権は貿易政策において、相手国との2国間交渉をしていく方針を示しているが、会談では通貨問題も議題になるだろう。通貨問題に関しては米財務省による半期に一度の外国為替報告書(4月末)で中国を為替操作国認定するには些か無理があると筆者は推考。
認定するには、3つの条件(①大幅な経常黒字GDP比3%超)、②対米貿易黒字年200億ドル超、③持続的且つ一方的な為替介入による外貨買いがGDP比2%超)に対し、全てに抵触しない限り認定発動はされないからである。
ではどうするか。水面下では中国が米製品を大規模購入するなどなど事前交渉も想定出来るが、1月の米貿易赤字が2012年3月以降で最大を記録した際に、ロス米商務長官は「ドルが強すぎるのではない。一部の他通貨が恐らく弱い」と発言したのは記憶に新しい。
つまり人民元安誘引の抑制と介入の自粛を促す可能性がある。しかし暗礁に乗り上げればトランプ大統領が保護主義的な発言、啖呵を切るのではないか。日本が名指しで批判される可能性は減少したものの、元安牽制に突き動かされて円安ビューが抑制されかねない局面になるかもしれない。
4月第一週のドル円
下値焦点は週足一目均衡表の雲帯上限110.982、3/27-28安値110.095-19。上値焦点は3月高安の50.0% 半値戻しとなる112.80圏、3/20-21高値112.88-91。超えれば日足一目均衡表雲下限113.15-35、61.8%戻し113.447、3/16、17高値113.505-565を推考している。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト