中国では3月後半、多くの都市で新たな不動産購入制限が開始された。北京、広州、佛山、中山、東莞、アモイ、鎮江、成都、滄州、句容、嘉興、長沙、廊坊から、国家レベルの貧困県である安徽省臨泉県に至る。

不動産購入制限は各地によって細かい違いはあるが、大雑把にいえば、現地に戸籍を持つ者、或いは現地の納税証明もしくは社会保障費支払い証明を提出できる者だけに住宅購入を許可するといった内容である。

そのほかにも、1軒目と2軒目の住宅購入では頭金比率が大きく異なり、基本的に3軒以上の住宅購入が禁止されたり、現地に戸籍を持たないものは基本的に2軒目以上の住宅購入が制限されたりする。90平米を超える物件では借入条件が異なったり、北京など一部の地域では商業用物件を個人で購入することが制限されたりしている。

都市部を中心にバブル化している

中国不動産バブル
(写真=PIXTA)

中央政府やその指示を受けた地方政府が不動産売買に大きな制限を課している点で日本の不動産市場とは大きく異なるが、違いはそれだけではない。

中国の土地は国家が所有しており、その土地は所属する地方政府によって管理されている。地方政府は不動産ディベロッパーに対して70年間の土地使用権を売却、不動産ディベロッパーはその土地の上に建造物を建て、それを消費者に販売する。

地方政府にとって土地使用権の売却は重要な財源となっており、銀行にとっては開発資金の供給、住宅ローンの提供が主要な収入源となっている。消費者は不動産を単に住居としてではなく、資産運用上もっとも有利な投資先と認識している。不動産を持たない者を除き、誰にとっても不動産価格は上昇した方が、都合が良いのである。

中国の不動産価格は平均収入との比較から言えば、都市部を中心にバブル化しているといわざるを得ないが、中国の複雑な供給システムの存在によって、下落方向には力が働かない。それでもどこかに価格の限界点があるはずだ。市場価格の決定は需要サイドの要因が大きい。そこをしっかりと分析することが限界点を見極める上で重要である。

北京市の住宅物件、企業からの需要が大きい