会社が従業員に対して住宅に関する補助を行う場合、まず考えられるのが住宅手当などの金銭的な援助です。これは福利厚生の一環として支給されるもので、給与所得に含まれる場合は所得税など税金の算定にも影響をおよぼします。

福利厚生担当者としては、その手当が福利厚生になるのか、給与所得に含まれるのかについて把握しておかなければなりません。では、給与所得はどういうものなのか、住宅手当は給与所得に含まれるのか、税金面ではどのような位置づけになるのか、手当と税金について詳細をみていきましょう。

給与所得とはなにか

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(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

給与所得とは、従業員や役員に会社から支払う俸給や給料、賃金、賞与、歳費などのほか、これらの性質を有するものをいいます。つまり、給与所得とは名称を問わず、会社から従業員に対して給料などと同じように支払われるものです。

所得税は所得金額に応じて金額が確定されることから、給与所得の額は年末調整時に重要なものとなってきます。所得金額は住民税の算定の基礎としても利用されるため、多くなれば、その分税金額がアップします。所得税については日本では累進課税制度を採用し、所得金額によって課税比率が異なるため、手当の金額により一つ上の課税区分となることも考えられます。そのため、給与所得が増えることにより所得税の金額が多くなったという事態も起こりうるのです。

給与所得は税金面だけでなく、給与所得によって算定される厚生年金保険料にも影響をおよぼします。厚生年金保険料は、標準報酬月額を基準に算定されます。標準報酬月額とは、31等級に分けられており、それぞれ支払う保険料が定められています。厚生年金の場合は、支払う額が増えることにより、国民年金と比べて後から受ける年金額も増加するため、一概に損とはいえません。しかし、福利厚生担当者としては留意した方がいいでしょう。

給与に含まれるさまざまな手当

会社から従業員に支払われる手当は、基本的に給与に含まれることになります。残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、扶養手当、住宅手当などが該当します。実際の月収にこれらの手当が加算されて給与所得となります。

一方、給与に含まれない手当も存在します。これらの手当は非課税として扱われることになります。例えば、通勤手当のうち一定金額以下のもの、転勤や出張のための旅費のうち通常必要と認められるもの、宿直や日直手当のうち一定金額以下のものである場合、非課税となり給与所得には含まれません。

現物給与も原則として給与所得

給与というと金銭で支払うイメージが強いですが、現物で支給する、いわゆる現物給与も原則として給与所得に含まれます。例を挙げてみましょう。

・ 物品などを無償で支給したり安く支給したりする場合
・ 借り上げ社宅などの場合、低い対価や無償で貸し付ける
・ 福利厚生施設の利用を無償や低い金額で利用させる
・ 個人的債務を免除したりする

現物給与により経済的利益を得ている場合、原則として給与所得とみなされます。しかし、借り上げ社宅などの場合、一定額を家賃として従業員から徴収していれば、福利厚生の範囲内とみなされて給与所得には該当せず、課税対象にはなりません。

手当でも給与所得に含まれることがある

手当には例外なく給与所得に含まれるものから、給与所得に含まれず非課税となるものなど、さまざまなケースがあります。会社がよかれとして支給したものが原因で税金が大幅にアップしてしまうと、会社にとっても従業員にとってもマイナスの結果となります。税金関係で不満が生じないよう手当の支給は十分に検討しましょう。(提供: フクリ!

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