Android Payがバンク・オブ・アメリカなどと提携し、銀行系VISAおよびマスターカードの情報を追加するだけで、アプリを立ち上げずに決済できるサービスを実現した。

モバイルバンキングアプリから直接Android Payを利用することも可能だ。この新サービスで、3大モバイル決済アプリ(Android Pay、Apple Pay、Samsung Pay)のトップの座を狙う。

加盟銀行系カード情報だけで、決済からリアルタム履歴まで

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(写真=android.comより)

Android Payのウェブサイト によると、Android Payの加盟銀行が発行したクレカやデビットカード情報を追加するだけで、アプリも起動せずに世界中の何百万件という加盟店での簡単決済が可能になる。

決済のたびに面倒なカード情報を入力する手間もなく、支払いの際に「Android Pay」をワンクリックで選択するだけ。つまり「カードがそっくりそのままスマホになった」という感覚だ。

「いつどこでいくら使ったか」という取引の詳細がリアルタイムで表示される点も嬉しい。取引履歴をこまめにチェックすることで、万が一不正な利用があった場合は即座に対処できる。

モバイルバンキングアプリからもAndroid Payを決済法に選ぶことができるので、わざわざAndroid Payのアプリをダウンロードしなくてもよいという点がこのサービスの特典だ。

Android Payは日本でもおなじみのマクドナルド、KFC、スターバックスを筆頭に何百万軒もの加盟店やモバイルアプリで利用可能だ。新たな銀行系カードとのリンクサービスは、現時点ではバンカメ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、ロイズバンク、サンタンデール銀行、USAA、ニュージーランド 銀行など欧米が中心となっているが、Googleは加盟銀行の拡大していく意向 を示しているため、将来的には日本の銀行系カードも利用可能になるかも知れない。

カード情報のトークン化でセキュリティー対策も万全

「スマホ決済は便利とわかっていても、やはり安全性が気になる」という消費者は多い。
Android Payは決済手段にバーチャル・アカウント・ナンバー( 仮想口座番号)システムを採用しているため、セキュリティー面でも信頼性が高い。スマホに登録されたカード情報を決済のたびにトークン化するため、情報漏洩による不正利用防止が期待できる。

スマホを紛失した場合、Androidデバイス・マネージャーから遠隔地ロックをかけ、即座に利用を停止。スマホに登録した個人情報を削除し、新しいパスワードを発行するといった操作も可能だ。

ユーザーが紛失・盗難などに気付いた時点で自ら素早く対処できるという点では、金融機関への連絡や所定のプロセスが必須となるクレカやデビットカードより、安全性が高いといえるだろう。

新サービスでApple Pay、Samsung Payの強敵となるか?

Android Payのモバイルバンキングアプリとの融合は、モバイル決済アプリのライバルApple Pay、Samsung Payとの勢力構造の刺激剤となる潜在性を大いに秘めている。

2017年のユーザー数を比較してみるとApple Payが8600万人で独走しており、Samsung Payは3400万人、Android Payは2100万人 と大きく差が開いている(Juniper Researchデータ)。いずれのアプリも昨年からユーザー数は2倍に増えているため、決済法として定着しつつあることは確実だ。

Juniper Researchは3大モバイル決済アプリのユーザ数が年内には1億5000万人、2021年までには5億人を突破すると予想している。

現時点ではApple PayとSamsung Payに遅れをとっているAndroid Payだが、新サービスが幅広い層のユーザー獲得に貢献すれば、需要も加盟店も跳躍すると期待できる。Apple PayとSamsung Payは対抗策として、さらに先を行くサービスを提供する必要がでてくるだろう。モバイル決済がますます面白くなりそうだ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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