東京株式市場が波乱の動きとなっています。米トランプ大統領の政策実行能力が疑問視されるようになったことや、地政学的リスクの高まり等がおもな要因と考えられます。これらを背景に、市場でリスクオフの空気が強まり、米金利低下や円高が進んだことで、日本株の下げが加速する形になりました。

こうした中、そろそろ押し目買いのタイミングを計っている投資家も多いと思われます。4/13(木)現在、日経平均株価のRSIが28.58%とすでに「下げ過ぎ」を示唆する水準まで下げており、値ごろ感は強まっているように思われます。今回の「日本株投資戦略」では、日経平均株価の下値支持線をチェックするとともに、「逆張り」的なスタンスで投資対象となるような銘柄について検討してみたいと思います。

「地政学的リスク」で下げた東京市場と物色動向

東京株式市場が波乱の動きとなっています。日経平均株価は3/13(月)に19,633円75銭の昨年来高値を付けた後は下落基調となり、4/13(木)には終値で18,500円を割り込みました。オバマケア代替案が採決に至らなかったことで米トランプ大統領の政策実行能力が疑問視されるようになったことや、地政学的リスクの高まり等がおもな要因と考えられます。これらを背景に、市場でリスクオフの空気が強まり、米金利低下や円高が進んだことで、日本株の下げが加速する形になりました。

地政学的なリスクについては、4/7(金)に米国が、化学兵器を用いたとされるシリアに対してミサイル攻撃を実施して以降、急速に意識されるようになりました。ここにきて米トランプ政権は、世界的な安全保障問題に積極的な関与を取り始めており、北朝鮮問題でも緊張感が高まっています。4/13(木)には米国がアフガニスタンのIS支配地域を「通常兵器では最強」と称される爆弾で攻撃しました。

北朝鮮問題については、4/11(火)に同国で最高人民会議(国会に相当)が開催されたことや、4/15(土)が金日成主席生誕105周年記念日になるなど、重要日程が多いことが、市場が警戒心を抱く背景になっていると考えられます。足元では米空母が北朝鮮近海に向け動いている他、月内は米韓軍事演習も行われています。米中首脳会談では、北朝鮮問題に対する中国の関与が期待されていましたが、問題の解決には時間を要するとみられます。

地政学的リスクの高まりとともに、東京株式市場が波乱となったことは冒頭でご説明した通りですが、逆に人気となった銘柄グループもあります。「防衛関連」です。表1は、SBI証券Webサイトの株式検索ウィンドウに「防衛関連」と入力した時に出力される銘柄が、米国によるシリア攻撃(4/7)の前営業日を基準にした場合、どの程度動いたのかを示しています。今後も地政学的リスクが継続した場合は折に触れ物色される可能性がありそうですが、すでに株価は「乱高下」の様相を呈していますので、投資の際には機敏な判断が必要になりそうです。

なお、地政学的なリスクが継続した場合、現実にはネット上でのセキュリティ対策が非常に重要な意味を持ってくる可能性があります。ただ、表2に掲載した通り、「ネットセキュリティ」関連銘柄はいまだ目立った動意を示していないようです。

表1表2

ここから狙える銘柄は!?

日経平均株価の下落が続き、そろそろ押し目買いのタイミングを計っている投資家も多いと思われます。4/13(木)現在、日経平均株価のRSIが28.58%とすでに「下げ過ぎ」を示唆する水準まで下げており、値ごろ感は強まっているように思われます。ご参考までに、同株価の当面の下値メドとしては以下のような水準が想定されます。

・18,145円・・・・・25日移動平均線(4/13)からマイナス5%かい離
・18,000円・・・・・心理的な節目
・17,889円・・・・・11/9安値から3/2高値までの上昇幅に対する「半値押し」水準
・17,847円・・・・・200日移動平均線(4/13)

4月後半は米国で、同下旬以降は我が国でも上場企業の決算発表が本格化する運びとなっています。したがって、日米で好業績銘柄を物色する動きが強まる可能性があります。4月末までの米韓軍事演習が「無事」終わり、地政学的なリスクが後退すれば、株価が反転する可能性もいっそう強まりそうです。

さて、株価が大きく下げた後に「逆張り」的な考え方ではどのような銘柄が投資対象として検討されるでしょうか。ひとつの考え方としては大きく下げた銘柄ということになります。表3は東証に上場する時価総額1千億円以上の主力銘柄(証券を除く)を下落率(日経平均が取引時間中の高値を付けた3/2以降4/13まで)の大きい順に並べたものです。米金利低下・円高の流れが逆風となり、金融や輸送用機器が多く含まれています。

驚くべきことに、大きく下げた主力株が軒並み、予想配当利回りが3%を超えるような「好利回り」銘柄となっていることです。もともと、配当利回りなども勘案して中長期投資を指向する投資家にとっては、投資タイミングが接近していると考えられるかもしれません。

仮に、株式相場が反転局面となる場合、これまでの投資環境が反転する動き、すなわち米金利の上昇や円安が同時に起こる可能性が大きいと考えられます。表3に多く掲載されている金融株や輸送用機器はそうした局面に上昇率が大きくなると予想されます。

表3-1

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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