2015年に施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策措置法)。空き家の放置が問題視されているという件については承知の人も多いであろう。

しかし実際はどの程度まで空き家問題が解決される環境に至っているのか。固定資産税の増税、代執行に関することなども含め、2017年に展開される空き家への措置を解説する。

政府対策と地方公共団体との温度差

空き家
(写真=JJ_SNIPER/Shutterstock.com)

空き家対策措置法が施行されてからほぼ2年が経過している。固定資産税が3~6倍になり、強制的に取り壊される代執行に関する新規定により一気に空き家が減少する方向へ進むかのように思われていた。

しかし実際にはそれほど進展しているとは言えない。各市町村で積極的に空き家等対策計画の策定を行っているところは全国比率でわずか6%である。

策定計画なしでは空き家への助言、指導、勧告が潤滑に進まないため実際に何かしらの措置を行った件数は全国レベルで3000件にも満たない。代執行に関しては行政も対応には慎重で数件しか実施されていない。それに対して空き家の数は800万戸以上である。

国土交通省の調査結果を見ても、都市部ほど空き家等対策計画への策定が進んでいないのがわかる。東京都では大田区や杉並区など6市区町村で、大阪府においては実質ゼロである(2016年10月時点)法定協議会の設置までは実施しているものの、なかなかその先に進めていない。

しかしこの状況を楽観視して空き家を放置しているのであれば要注意である。

立地条件よければ空き家も売却できる