居酒屋でビールを頼むと、店員の「はい、よろこんで!」と気持ちの良い返事が返ってくる。その声に仕事の疲れが吹き飛び、元気が出たという方も多いのではないだろうか。今や多くの場所で使われる「はい、よろこんで!」の掛け声であるが、ルーツを遡ると、ある居酒屋チェーンにたどり着く。
「はい、よろこんで!」の由来は「やるき茶屋」
「はい、よろこんで!」の由来は大庄 <9979> の運営する居酒屋チェーン「やるき茶屋」にある。今から35年前の1982年、「庄や」の運営が好調で店舗数を60まで増やしていた同社は次なる展開を考えていた。新業態として、かつて峠の茶屋で旅人が一息ついた時のイメージをコンセプトに「やるき茶屋」の出店が計画されたのである。当時の社長であった平辰氏は「やるき茶屋」の出店にあたり、「ご来店のお客様に、やるき茶屋独自の声掛けをしよう」と指示を出した。そこで社長の実弟であり、当時の営業本部長の平博氏が考案したのが、どんな時にも喜んで接客を行うという意味を込めた「はい、よろこんで!」であった。
「はい、よろこんで!」の接客はその気持ち良さと目新しさが客に受けた。「やるき茶屋」の1号店は水道橋にオープンしたが、半年後には近隣の「庄や」の売上を抜いた。同社では「やるき茶屋」の出店を加速させただけでなく、「庄や」を中心とした別ブランドでも「はい、よろこんで!」を採用したのである。
その後、同社の成長は更にスピードを上げた。「庄や」は100店舗を展開するまで13年掛かったが、「やるき茶屋」は約半分となる7年で達成。1994年には東証店頭市場へ株式公開し、1997年に東証二部上場、1999年には東証一部への指定替えを果たした。今やグループ店舗数約700店、2016年8月期の売上高は約700億円を誇る企業へと成長した。「はい、よろこんで!」の掛け声は同社のみならず、様々なシーンで耳にする事も多くなった。
よく聞く接客用語の代表格「よろしかったでしょうか」の由来は?
「はい、よろこんで!」と同じようによく聞く接客用語は他にもある。コンビニや飲食店でよく使われる「よろしかったでしょうか」もその一つである。語法が間違っているとの指摘が話題になる事も多い。
「よろしかったでしょうか」の由来には様々な説がある。一つが北海道方言説である。北海道では過去形にすると丁寧な表現になるという考えがあるようで、それが全国に広まったという説である。他にも、外資系企業が接客マニュアルの「Would you〜」、「Could you〜」という表現を訳す際に過去形にしてしまったという説や、注文を受ける端末に入力した後での確認なので過去形となっているという説もある。
「よろしかったでしょうか」の由来についてはこのように諸説があり、明確な答えは出ていない。間違った日本語であるとの指摘を受け、接客マニュアルで「よろしかったでしょうか」という表現を使わないように定めている企業も多いが、現在でも様々な場所で耳にする。表現としての正誤はともかくとして、ここまで頻繁に耳にする語法の由来が定かではないというのも面白い話である。
「はい、よろこんで!」や「よろしかったでしょうか」のような、よく聞くフレーズは他にもある。その由来を調べてみると、意外な発見があるかもしれない。(ZUU online編集部)
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