私が一財を築いたIPO投資を紹介します。そもそもIPOとは、「株式会社において、オーナーやその家族など少数の特定株主のみが株式を保有しており、株式の自由な売買ができないとき、不特定多数の投資家が参加できるように、市場に新たに株式を供給すること」です。

(本記事は、JACK氏著『サラリーマンで2億を稼いだ! 【株式投資】勝利の方程式』ぱる出版 (2015/10/5)の中から一部を抜粋・編集しています)

応募銘柄はこうして決める

JACK,投資術
(写真=PIXTA)

その供給の仕方は2つあります。ひとつは、以前からの株主の株式を市場に放出する「売出し」と、もうひとつは新たに株券を発行して市場から新たに資金を調達する「公募」です。通常のIPOのとき、この両方が同時に行われることがほとんどです。

では、2015年上半期のIPO株式の公開値と初値を見ていきましょう。IPOがあった銘柄が43社で公開値より初値が上回る銘柄が40社ありました。

では、どのような銘柄に公募価格より高い初値がつくのでしょうか。IPO銘柄を選ぶとき、以下の項目を参照にしてください。堅調な初値をつける銘柄はこの数点に該当していることが多いのです。

・人気のある業種である
・将来性がある
・マザーズ上場銘柄である
・VCや大株主売り抜け防止のロックアップ期間もしくは条件がある
・そもそも公開株数が少ない
・公募株数より売り出し株数は少なめである
・業績や利益が順調に伸びている
・赤字企業ではない
・PERは妥当である
・上場目的が、換金性含め露骨ではないか
・主幹事証券会社が信頼できるか

応募する前に企業のHPを見たり、証券会社から目論見書を得たりしましょう。そうすれば、この条件に該当するかどうかはすぐにわかります。反対にこの条件にほとんど当てはまらない銘柄は、公募割れになる可能性も高いのです。

なおそのような判断は難しい、もしくは手間がかかるということであれば、有料予想サイトである フィスコ NJI などを利用するのもひとつの手です。

そうやって公募割れが予想される銘柄を避けることができても、IPO特有のリスクがあります。それが期間リスクです。

IPOの手続きは簡単です。証券会社にIPO銘柄を申し込んで、当選さえすれば、上場日以降に売るだけです。しかし、新たに募集開始した日から新規公開(獲得した株式を売れる日)まで、およそ2週間近くかかります。4年前の大震災(発刊当時)のような未曾有の事態でも、スケジュールどおり上場を強行した銘柄がありました。当然、買い手がつかないので、堅調な初値どころか著しい公募割れです。こういった期間リスクは、いつも意識していないといけません。

『サラリーマンで2億を稼いだ! 【株式投資】勝利の方程式』ぱる出版 (2015/10/5)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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幹事証券会社が成功のカギを握る

では、妙味があると判断したIPO銘柄にどう応募すればよいのでしょうか? まず、はじめにIPOの銘柄ごとに応募できる証券会社が限られているということを頭に入れてください。IPO銘柄を扱える証券会社を「幹事証券会社」といいます。幹事証券会社はIPO実施にあたり、有価証券の発行や所有者と内容確定の協議を行います。

幹事証券会社は、株式の引受や販売を行うだけではありません。IPO実施前の手続きはもちろん、のちの資金調達から経営のアドバイスまでさまざまな役割を果たすとても重要なポジションについているのです。幹事証券会社というものは、IPO投資において注目するべきポイントなのです。

IPOは大きなイベントです。幹事証券1社ですることはまれで、4社~5社で構成されることがほとんどです。そのとき、中心的な役割をする証券会社を「主幹事証券会社」、サブ的な役割をする証券会社を「副幹事証券会社」、もしくは「平幹事証券会社」といいます。当然、株数の引受数が多いのは主幹事証券なので、その証券会社に申し込むのが王道です。

大手の証券会社の口座(野村、大和、日興、みずほ、三菱)はすべて開設するべきでしょう。余裕をとるために、IPOの発表前から開設することが理想です。そうすれば露骨なIPO狙いの口座開設と疑われる可能性は低くなるでしょう。

IPOの初値に注目することも大事です、そうしていれば、市況の影響があるとはいえ、どこの証券会社が安定して結果(公募価格に対しての初値の騰落率)を出しているか少しはわかってくるでしょう。賢明な企業や主幹事証券会社であれば、市況が悪化したとき、仮条件の見直しを含め、上場延期などの対応をとるものです。

ブックビルディングの申し込みをするとき、時間や金額優先を意識している証券会社も一部にはあります。できる限り早く資金限度いっぱいに申し込むことをオススメします。「すべて当選したらどうしよう」と心配する必要はありません。堅調な初値をつけるポイントを踏まえれば競争率も高いので、全株当選などありえません。

もちろん、公募割れやら不人気銘柄であれば、全株当選も十分にありえます。やはり銘柄判断は大切です。

当選しやすくなる優先ステージとは?

IPOは、優先ステージの上位者が当選しやすくなっています。優先ステージは、基準となる月平均の預かり総資産や過去の取引内容や取引額などによって決められます。総資産や取引額が高ければ高いほど、ステージが上になります。

優先方法はホームページなどで掲載している会社もある一方で、公開していない社もあります。公開していない会社のルールを知ることはできませんが、私の経験によると公開していない社も考え方はだいたい同じです。

IPO獲得には優先的ステージに入ることが近道です。しかし、ステージ上位に入るには、資金がとてもかかります。では優先的ステージの上位に入れないなら、IPO獲得はできないのでしょうか?

そんなことはありません。まず、下位ステージは上位ステージと比べて、優先度は下がっても当選の可能性はあることを頭に入れてください。もし、その割り当て証券会社にある程度の株数があるなら、すべての株を上位ステージに配分することはありません。少数にすべてを配分すれば、金融庁から説明責任を問われます。

次に、証券会社の配分方法のひとつである回数制限を利用します。いつも同じ人にIPOを配分する、もしくは連続して当選させるということは「特定者に対する利益享受」にあたります。だから新規顧客を優先している社が多くあるのですが、そこを逆手にとりましょう。「まだ1回も当選していない」もしくは「はじめてIPOに応募する」といったスタンスで参加するのです。

とくに口座を開設して間もないときであれば、当然、上位ステージに入ることはできません。新規顧客として応募するのが当選の秘訣です。すでに口座を開設してかなりの期間がたっているとき、もしくはIPOに何回か当選しているときは、思い切って支店を変更(移管)するのも手です。年末年始やお盆シーズンといったIPO発表のない空白をついて、口座を解約して数か月後に開設するのです。

次は競争率を考えましょう。つまり、大手の証券会社を避けて、準大手以下の証券会社での上位ステージをめざすのです。

過去の引き受け会社の一覧をチェックしてみてください。そのなかで、公募値より初値が上まわっていて、年に1回~2回しか主幹事をしない証券会社、あるいは年に5回ほど平幹事証券会社をしている会社があるはずです。

それらの証券会社は、大手証券会社と比べて、知名度が低く、引受株数も少ないので、応募者も少ないはずです。つまり、上位ステージに入ることができれば当選確率はかなり上がります。

たとえその証券会社にステージ制度がなくても、いつも自分のメイン証券会社としてそこそこの預け金額をキープしたり、売買実績をあげていたりすれば、上位ステージに入るのと同じ効果があります。

ローリスクで店頭証券に手数料を落とす裏ワザ

上位ステージに行くには、店頭証券の売買実績がものをいいます。そのポイントとなるのは、店頭証券に落とす手数料です。当然、手数料を証券会社に落としているほど上位ステージに入りやすくなります。

まずよくあるケースとして、投資信託の購入にかかる手数料があげられます。(たいてい購入価格の約3%の手数料がかかります)。その購入にかかる手数料は許せても、このご時世、投資信託はまず短期で解約させてくれません。これでは中長期の保有による下落リスクにさらされます。手数料を落とすための投資信託は止めたほうがよいでしょう。

次に債券の購入手数料を考えてみます。しかし、国外債券は為替手数料に、国内債券は売買価格そのものに手数料が上乗せされています。これではせっかく手数料を支払っていても、ステージを上げるためのカウントにどれほどプラスされているのかわかりません。ときによっては、カウントされていないケースもあるでしょう。

となると消去法ですが、個別銘柄の株式売買にかかる手数料しかありません。

もちろん、自分の買いたい銘柄を自分の買いたいタイミングでする購入ではなく、IPO獲得の日程に合わせた購入です。手数料狙いとはいえ個別銘柄をつかのま保有することになるので、投資信託と同じく下落リスクにさらされます。

しかし、投資信託と違い銘柄投資はリスクヘッジをすることができます。カラ売りであれば下落リスクは防げます。もちろん、カラ売りできる銘柄であることが条件です。また、店頭証券でカラ売りをすると高額な手数料がかかるので、ネット証券における信用口座の開設が必要です。

カラ売りは両建てをして、手仕舞い(反対売買)をするのが理想的です、しかし、銘柄や出来高によっては株価操縦と疑われることもあります。購入して上昇したタイミングでカラ売り、もしくは先にカラ売りをして下がったところで現物株を購入した方がよいでしょう。

結論ですが、証券会社に手数料を落としたいとき、個別株投資は投資信託や債券購入と比べて効率的です。なぜなら資金の硬直化や下落リスクにさらされにくいからです。

家族パワーでさらに当選確率を上げる

IPOの当選確率を上げるにも「家族パワー」は大切です。自分の配偶者や親、あるいは兄弟で証券口座を作って、IPOに応募してもらうのです。

SBI証券などは、満15歳未満の子どもであっても、親権者又は未成年後見人が取引主体(未成年口座の発注を実際に行う者)として、未成年者本人に代わり、未成年者の財産を管理することを目的に、口座開設並びに取引ができます(資金移動のときの贈与税に注意)。

とはいっても、いざ家族に頼んだところで、家族の協力が得られなかったり、面倒くさがられたりするときもあるでしょう。しかし、そういうときは「委任状」で対応できます。委任状は「私の売買をあなたにお任せします」という書き付けです。この委任状があれば、未成年はおろか配偶者や親の口座でも、自分の口座のようにIPO申し込みや株の売買ができます。

次の小技としてキャンセル待ちがあります。せっかくIPOが当選してもキャンセルする方がいます。そのキャンセルされた当選株を狙うのです。

やり方は簡単です。「もしもキャンセルが出たら一番に連絡ください。すぐに購入できるよう資金は入れておくのでよろしくお願いします」と前もって伝えるだけです。落選の電話をもらったとき、応募の競争率を聞いたとき、次回のIPOのお願いをするとき、私は必ずこのひと言を伝えます。

JACK(ジャック)個人投資家
バーテンダー、予備校講師、サラリーマンと多彩な職歴を歩む傍ら、IPO(新規公開株)を中心に2億円近くまでの資産を稼ぐ。

※記事内の情報は発刊当時(2015/10/5)のものになります

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