経済産業省の20、30代の若手有志30人で構成される「次官・若手プロジェクト」チームが日本社会の課題についてまとめた資料が、ネットで話題を呼んだ。これまでの伝わらない「お役所仕事」とは一線を画す表現での問題意識の投げかけには「ヤバイ感がすごい」と評価する声が上がる一方で、「褒めるほうがどうかしている」という厳しい声もあがった。

「問題意識の投げかけ」

『不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~』より(経産省 次官・若手プロジェクト)
『不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~』より(経産省 次官・若手プロジェクト)

注目を集めたのは、18日に経済産業省が開いた産業構造審議会の第20回総会で配布された「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」。資料を作成したのは、同省の20代、30代の若手職員たち30人。普段のポジションでは出しづらい考えを素直に出そうというスタンスで集まった有志のメンバーたちだ。

「問題意識の投げかけ」を主題にしたという資料を開けば、すぐに「このままじゃダメなのは明らかに、なんでこの国は変われないんだろう」「そろそろシンガポールに脱出かな」といった刺激的な文言が目に入る。

資料の中では「今の社会システムは高度経済成長まっただなかの日本社会を前提に作られている」と指摘。1950年代生まれの80%以上が経験してきた「結婚し、出産して、添い遂げる」という生き方は、1980年代生まれの時代には、わずか58%に落ち込んでいると指摘。にも関わらず「昭和の標準モデル」を前提にする制度と、それを当然と思いがちな価値観が絡み合って、変革が進まないと訴えかける。

特徴的なのは「『昭和の人生すごろく』のコンプリート率は、既に大幅に下がっている」や「今後は、人生100年、二毛作三毛作が当たり前」といった比喩的表現や、「60歳半ばで社会とのつながりが急速に失われる暮らし。そんな暮らしを多くの人が望んでいるだろうか?」という問いかけなど、これまでの「お役所的な表現」とは一線を画した表現の文言が並んでいる点だ。

3万以上のリツイートも

こうした独特なフレーズや言い回しを使い、高齢者たちが退職後に生きがいを感じられていないという現状から、「高齢者を弱者とみなす社会保障をやめ、子どもや教育など、これからの世代の投資を優先する社会構造へ」と訴えかけるこの資料はネット上では大きな注目を集めた。

ツイッターでは「わかりやすさと言いたいこと言ってくれる率がすごい」「鬼のような緊迫感が伝わる」といった反応が相次ぎ、数千以上のリツイートを集めるツイートも次々と現れた。中には「資料のなんとかしないとヤバい感がすごい」とするツイートなどのように3万以上のリツイートされたツイートもある。

しかしこうした「お役所的でない」呼びかけが新しいものとして、受け入れられている一方で、「こんなものを褒めるほうがどうかしてる」などとする厳しい声もある。結局のところ文言の選択が刺激的なだけで、結局の所は「一億総活躍社会」という政府全体のスローガンと関連するものでしかなく、特に目新しいものではないというのだ。

またこうした若手に対して「現場を知れ」といった冷や水を浴びせる元官僚もいるようだ。

いずれにせよ問題意識の投げかけを優先し、回答は省いたという資料には具体的な施策については、あまり触れられていない。しかし既に多方面から意見が噴出していう現状は、今後の議論につなげたいというチームの思惑にかなったものだ。その点においては、世の中に広く呼びかけることを目指した同プロジェクトは一応の成功をみたと言えそうだ。(ZUU online編集部)

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