三菱東京UFJ銀行は24日臨時取締役会を開いた後、小山田隆頭取(61)が、健康を理由に6月14日付で退任すると発表した。同日付で特別顧問になる。小山田氏は昨年4月に就任したばかりで、在任1年という短期間で交代する異例の事態となった。後任は三毛兼承(みけ・かねつぐ)副頭取(60)が就任する。

同じメガバンクの三井住友銀行は高島誠氏(59)が今年4月に、みずほ銀行は藤原弘治氏(55)が同月、それぞれ頭取に就任した。小山田氏は、その1年前に頭取になったばかりで、三井住友・高島氏、みずほ・藤原氏と同様、金融サービスの中心である企画畑で経験豊富だった。

異例の短期退任

MUFG,人事
(画像=Webサイトより)

平野会長は同日の会見で、小山田頭取の退任の理由について、「今年の2月に本人から体調が思わしくないという話があった。今月19日には、本人から体調が思うにまかせず、職責を果たせないという申し出があり、やむをえないと判断した」と述べた。同氏は将来の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)社長候補と目されていた。

小山田氏は、持ち株会社MUFGの取締役も併せて退任する。小山田氏はまた今年4月、全国銀行協会会長に就いていた。平野会長によると、全銀協会長職は、同会長が引き継ぐ方針である。全銀協会長として小山田氏は、最近では銀行カードローンの貸し出し抑制問題に取り組んでいた。

後任の三毛氏は慶應義塾大学卒業後、1979年に三菱銀行に入行。営業、企画、システム統合などを手がけ、2006年専務執行役員などを経て2016年5月から副頭取に就任し、専ら米国事業や国際関連部門を担当していた。東京都出身。6月14日付で、MUFG副会長職にも就く。

業績を上げていた行内のプリンス

小山田氏は、銀行の中枢である企画畑を歩き、旧UFJグループとの経営統合に手腕を振るって、行内から「プリンス」と呼ばれるほどの評判を得ていた。

同氏は在任1年の間、MUFGとは関係が深い十六銀行と岐阜銀行の合併を実現、海外でもモルガン・スタンレーとの資本提携を下支えした。2015年6月には、持ち株会社MUFGが委員会設置会社に移行後は、新設されたCOO(最高執行責任者)に就任するなど、頭取禅譲への布石は打たれていた。平野会長は、邦銀初の純利益1兆円超えを果たした輝かしい業績がある。小山田氏はその期待に応え、2017年3月期決算で、通期目標8500億円を上回る9264億円の純利益を出して、頭取1年目として順調な業績を上げていた。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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