シェールガスとは?
地中のシェール層からとれる天然ガスの事です。通常天然ガスはガス田と呼ばれる所から採掘しており、そういった天然ガスの事を「従来型天然ガス」と呼びます。シェールガスはガス田以外から採掘されるので、「非従来型天然ガス」と呼ばれるガスになります。シェールガスは、従来型が採掘しやすい浅い層にあるのに対して、地中深くの固い泥岩の中に閉じ込められています。米国の一部では、前からこのシェールガスの存在は知られていましたが、あまりにも採算に見合わないという事で見送られていました。
しかし、近年技術の進歩により、シェールガスを採掘するのに必要な水圧破砕などの技術が確立し、2005年ごろから北米で本格的に生産が始まりました。今では、ロシアを抜いて世界最大のガス生産国にまでなっています。またシェールガスから同様にオイルもとれることがわかり、2015年には、米国はオイルでも世界最大の石油国になると予想されています。このままのペースで進んでいくと2020年頃の米国は、世界最大の輸入国から資源国へ変わると予想されています。このことは、天然資源の供給国と消費国の位置関係を変えたり、世界各国の経済や外交までもが影響をうけます。シェールガスは、生産することであらゆる事項に様々な影響を巻き起こすので「シェール革命」と呼ばれています。
シェールガスが米国経済にもたらす恩恵は?
シェールガス(天然ガス)が自国で生産できるようになった為、今までのように中東から輸入する必要がなくなりました。これによりエネルギーの生産量が増えたので、価格が安くなり、今までエネルギーを原料や燃料としていた製造業の競争力が底上げされて、より経済の回復に加速をもたらすと思われます。また、シェールガス、オイルの生産量によって石化製品の生産コストが大幅に下がることや、企業や個人の電気やガスの料金などが下がる可能性もあります。生活に密着したコストが減る事によって、国民全体の生活、経済にも影響を与えます。シェールガスは世界中にあるといわれています。北米でのシェールガスやオイルの技術ノウハウをいかして世界へその技術を展開していきたいと考えているようです。シェールガスが米国経済にもたらす恩恵は計り知れないぐらい大きいドル箱といわれています。
シェールガスが国内にもたらす影響は?
東日本大震災で、原発の事故で今日本はエネルギー不足にあります。エネルギーのほとんどを輸入に頼っており、今年の夏も猛暑となる見込みで電力の供給不足が懸念されています。そんな中、2017年より米国からシェールガスを輸入できる見通しがでています。シェールガスは今、主に輸入しているLNGガス(液化天然ガス)よりも安いコストで輸入することができ、別のルートからの供給源ができることで、安定供給にも期待が持てます。シェールガスの輸出事業には多くの日本企業が参画しています。総合商社は、住友商事、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅などが権益を獲得しています。エネルギーが供給できる事により、生産コストが抑えられる事から三菱ケミカルHD、クラレなどは、工場を米国に建設する見通しです。また、ブラント、造船、海運などにも商機は広がっています。千代田化工機や日揮はプラント市場に参入、日本郵船、三井商船、川崎汽船の海運3社は、LNG輸送船を大幅に増やす方針で、3社の投資額は2兆円近くになる見込みといわれています。日本経済にも恩恵を与える事が考えられます。