2011_09_06_01


カカクコムの企業概要

株式会社カカクコム(以下、カカクコム)はインターネットサイト『価格.com』を提供する企業です。カカクコムは、利用者の欲しい商品の価格を比較できるインターネットサイト『価格.com』を企画・運営し、パソコン、同周辺機器、家電などの価格情報や商品情報を提供する他に、保険、通信分野のサービス・料金などの情報を提供し、利用者にこれら商品・サービスの購入を促しています。

カカクコムはこのような情報サイトを展開することで大きく、①有料会員登録、②広告収入、③企業製品・サービス掲載料の3つの方法により、収益を得ています。①は『食べログ』などで月額の会費を払い、プレミアム会員登録をすると特別割引などの優待を受けられるものとなっています。②は広告をサイトに掲載することで収益を上げています。 ③は企業の製品・サービスの情報の紹介ページのクリック数に応じて掲載料を取るビジネスモデルとなっており、成約率などにも応じて、業種によってクリック単価を分けています。 このように、掲載料を固定にしないことで、カカクコム・提携企業双方にとって、メリットを生み出しています。また、このサイトを利用してインターネット広告を行ったり、インターネット上の掲示板を用いた情報コミュニティの運営を行ったりしています。

この『価格.com』、『食べログ』が2大メイン事業となっていますが、その他のサービスにも、宿泊予約サイト「yoyaQ.com」の企画・運営、賃貸・売買物件ポータルサイト「スマイティ.com」の企画・運営、写真共有サイト「photohito.com」の企画・運営、旅行ポータルサイト「フォートラベル」の企画・運営 、映画ポータルサイト「eiga.com」の企画・運営などがあります。このように、カカクコムは、インターネットサイトを利用して、利用者に価格や商品情報、さらには口コミ情報を提供し、商品・サービスの購入を促進する企業となっています。


カカクコムの強み

ここではカカクコムの強みに関して見ていきたいと思います。 強みに関しては、①高い営業利益率、②在庫を持たないため、事業リスクが低い、③独特の価格比較サービスの3つがあります。①に関しては営業利益率は50%近くとなっており、ROEも40.4%と、非常に高い利益率となっております。これはネット関連企業の多くに言えることですが、ネット関連企業は原価が非常に安いので高い利益率を実現しやすくなっています。②に関してカカクコムはあくまで情報の提供を行うに留まっているため、在庫を持ちません。 従って、景気循環による在庫のリスクがありません。むしろカカクコムのようにどこが最安値で販売しているか分かる情報サイトは不況時にも人気が出るため、事業の安定性は高いと言えるでしょう。③に関してはビジネスモデルの強みと言えます。 これは競合他社が真似できない事業の仕組みとなっています。一般的な価格比較サービスは、ネット上にある価格情報を拾い、安い順番に並べる「ロボット型」になっています。しかしカカクコムの場合は、パソコン販売店などの参加店舗が、競合する他店舗の動向を見ながら値付けしていくことで商品価格が競り下がっていく、「逆オークション形式」の形態を採用しています。 このビジネスモデルでは、規模と時間が要求されるため、後発企業は参入しづらく、ここに事業の優位性を見いだせます。

一方、弱みとしては、他の口コミサイト・比較サイトとの競争が激化した際に、ユーザーを安定的に確保できるかという点があげられます。また、口コミサイトだけに、ユーザーからの信頼を維持し続けるのが難しいところもあります。口コミに対して一定の信頼を担保出来る仕組み作りにより取り組んでいく必要がありそうです。