カカクコムの新サービス

先日、カカクコムはメイン事業である『価格.com』で新たなサービスを発表しました。それは購入先を問わず、これから買う商品に加え、購入済みの商品も対象に月額500円で故障時に修理するというサービスです。家電販売は近年過当競争で市場の拡大も見込めません。そのため、アフターサービスで顧客を囲い込むことが重要な課題となります。 カカクコムのサービス「価格.comプラス」はテレビやパソコン、ゲーム機、カメラ、エアコンなど19品目、190メーカーの製品が対象です。

また、電話やインターネットで使い方の相談に応じる「リモートサービス」も提供します。 サービスの種類に応じて、500、700、900円の月会費を設定し、ユーザー課金での収益を上げていく戦略です。冷蔵庫など大型家電の設置も会員限定の割安価格で請け負うほか、家電リサイクル法の対象商品の引き取りサービスも紹介するなど大幅なサービス拡大となります。従来の保証サービスは購入時などに製品ごとに加入する必要があり、消費者にとっては非常に不便なものでした。 カカクコムはこうした手間を省くことで顧客の一層の囲い込みを考えています。このようなサービスを提供することでユーザーの利用頻度を上げ、クリック単価からの収益や広告収入を上げていくという狙いがあります。


今後の注目点

今後の注目点としては3つあります。それは、①メイン事業である『価格.com』『食べログ』の有料会員がどれだけ増えるか、②上記の2つの事業の総利用者数がどれだけ増えるか、③新戦略のサービスがどれほどの効果を持つか、になります。

③に関しては、この新戦略がどの程度効果があるのかは1つの注目点になると考えています。 『食べログ』の有料会員の割合は、月間総利用者数の約1%程度です。これを『価格.com』の月間総利用者数約5000万人(2014年3月末現在)の1%とすると50万人となります。 しかし、食べログは約4年かけてこの会員数を達成してきたことを考えると今年は多くても5万人程度となるでしょう。これに月会費500円と仮定した金額を掛け合わせると、売上高へのインパクトは単純計算で約25億円程度です。ただし、有料サービスの利用ユーザーは使用頻度が上がると考えられるため、広告収入やクリック数の面でも収益にはプラスになるでしょう。すると純利益には現在の利益率を用いると10億円程度のインパクトを想定出来そうです。もちろん、これはあくまで試算です。実際にこのサービスの利用者がどれくらい増えるかはリアルタイムでチェックしていくことが必要です。また、既存の収益源の『価格.com』『食べログ』以外の事業の収益がどれくらいになるかも注意してみていく必要があるでしょう。

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Photo from カカクコムHP