2016年の資産10億ドル以上のお金持ち(ビリオネア、約1113億1000万円以上)の数は前年比3.1%減の2397人で、2008年のリーマンショック以降初めて、その数が減ったことが明らかになった。

16年には新たに207人の億万長者(資産10億ドル/約1113億1000万円以上)が生まれものの、それを上回る283人の資産が10億ドル以下に減少した。

300万人に1人が「ビリオネア(資産10億ドル以上)」

この調査は資産調査会社ウェルスXが英語で「ビリオネア」と呼ばれる、資産10億ドル以上の億万長者の動向 を分析したものだ。

最多数を記録した2015年から10%の減少が見られるものの、数、資産額ともに2014年をはるかに上回る水準を維持している。単純計算すると、300万人に1人がビリオネアということになる。全ビリオネアの資産総額は、7兆4000億ドル(約823兆 6940億円)。世界人口の全資産額(241兆ドル)の約33分の1を、この層が保有している。

ビリオネアが最も多い地域は米国。次いで中国、ドイツ、ロシア、英国の5カ国だ。金融、財閥、不動産が、3大ビリオネア分野となっている。

男性ビリオネア2125人に対して女性ビリオネアは272人と、依然としてビリオネア間でも男女格差が目立つ。

ビリオネアが増えた地域は米国のみ

富裕層規模の縮小については、昨年頃から報じられている。

英不動産大手ナイトフランクが昨年発表したレポートでも、「3000万ドル以上の資産があるアジア圏の富裕層が、経済危機以来初めて減った(前年比3%)」と報告されていた。その際、アジア通貨の対ドル下落が影響したものと推測されていたが、ウェルスXによる新たな調査結果を見るかぎり、富裕層の縮小は資産規模や地域に左右されるものではなさそうだ。

しかし拡大を続けていたアジア太平洋地域のビリオネアが、昨年から急速に勢いを失いつつあるほか、ビリオネアが増えた地域が米国 だけであることなどを、ウェルスXは指摘している。

各ビリオネアの純資産にも変動が目立ち、4分の3の純資産に5%以上、5分の1の純資産が20%以上増えた、あるいは減っている。

テック系ビリオネアの純資産は平均よりも3339億円多い?

注目すべきは、テック産業で富を築いたビリオネアだ。この分野のビリオネア、115人の純資産は平均52億ドル(約5788億1200万円)。平均的なビリオネアよりも、ほぼ30億ドル(約3339億3000万円)多い。また半分が50歳以下と、比較的年齢層が低いのも特徴だ。

フォーブスのデータによると、Facebookを共同で設立したマーク・ザッカーバーグ氏 とダスティン・モスコービッツ氏 は若干33歳という若さだが、2015年5月現在の純資産はザッカーバーグ氏 が633億ドル(約7兆459億円)、モスコービッツ氏が121億ドルだ(約1兆3468億円)。そのほかSnapChatの設立者、エヴァン・シュピーゲル氏( 26歳)は47億ドル(約 5231億5700万円)、Stripeの設立者、ジョン・コリソン(26歳)は11億ドル(約1224億4100万円)を保有している。

若年層のビリオネアの増加は他地域でも広がりつつあり、中国のビリオネアも3分の1が50歳以下 だという。確かにテンセントの馬化騰CEO (45歳)の純資産は318億ドル(約3兆5397億円)、DJIテクノロジーのフランク・ワン CEO(36歳)は36億ドル(約4007億1600万円)、JDコムの劉強東CEO (42歳)は105億ドル(約1兆1687億円)となっている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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