日本経済団体連合会(経団連)や新経済連盟など、国内の名だたる企業が加盟する団体があるが、フランスのエノキアン協会という団体を耳にしたことがある経営者もいるだろう。経団連の入会資格が純資産10億円以上など一定の規模が必要とされるのに対し、エノキアン協会は創業200年以上の歴史ある老舗企業のみが加盟を許される経済団体だ。日本からも8つの会社がメンバーに名を連ねている。
欧州以外では日本企業のみが加盟
老舗企業のクラブ・エノキアン協会は1981年に設立され、パリに本部を構える。多国籍企業とは一線を画し、家族経営の概念の価値を加入企業で共有し、発展することを協会の目的としているため、創業家の事業への関わりが求められるという。
こうした要件を満たせば、業種を問わず加入できる。航空機、貿易、出版、重工業など多様な顔ぶれで、協会のお膝元のフランスの企業をはじめ、46社でメンバーを構成している。老舗企業クラブの中で、イタリア、ドイツ、スイスなどヨーロッパ以外の地域から加盟しているのは、8社の日本企業だけだ。
日本企業の平均創業年数は469年!
日本から加盟を許された8社もそうそうたる老舗企業ながら、バラエティに富んだ顔ぶれだ。そのリストは次の通り。
エノキアン協会の加盟条件は創業200年以上だが、日本企業のメンバーは法師が約1,300年の歴史を誇るほか、すべての会社が300年以上のビジネスを継続し、8社の創業からの平均年数は469年にも上る。近年は東京一極集中が叫ばれるビジネス界だが、エノキアン協会に認められた企業は京都や奈良などの古都、尾張で栄華を極めた愛知県など地方都市に点在する。
8社に共通するのが、創業当初のビジネスや商品を何世代にもわたって受け継いできたことだ。時代の経過とともに生活スタイルや消費者の嗜好は大きな変化を遂げてきたが、伝統を守りながらもそうした変化に柔軟に対応することで営業を続けてきた。
中川政七商店のビジネスを例に挙げると、麻の晒し布として奈良晒は17世紀後半から18世紀前半に産業のピークを迎えたものの、その後は他の産地の競合品が出現し、廃業寸前まで追い込まれたこともあった。10代目が自社工場を構えて商売の再建に成功。その後は、表参道ヒルズに旗艦店をオープンさせたほか、ECビジネスも展開し、伝統の商品を守りながら時代の変化に対応している。
東京商工リサーチによると、2017年の時点で創業100年以上となる老舗企業は国内で3万3,069社にのぼる。最古の企業は社寺建築の金剛組で、578年に創業している。金剛組のように1,000年以上の歴史を誇る会社は7社を数えるという。
こうした老舗企業のうち、3割を超える会社は従業員が4人以下の小規模企業で、家族が経営に関わっているとみられる。ファミリービジネスは、時として閉鎖的で非効率などといった批判も受ける。
しかし、エノキアン協会に加盟する日本の老舗企業のように、商売の伝統を守りながら代々継続していく経営手法は、ファミリービジネスだからこそ成り立っている側面もある。数々の苦難を乗り越えてきた老舗企業から、経営者がお手本として学ぶべきところも多いだろう。(提供: 百計オンライン )
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