伊藤忠の将来に向けた経営方針
伊藤忠は、食物、住宅材料、資源と言った色々な分野を扱う総合商社であって、どの分野も売上高の20%以内に収まっている点が特徴です。1つの分野に偏っていないため、それがダメになった時に強いメリットがあると言われます。2015年3月、新たなる経営方針を発表しました。高い利益を上げていますが、(同じ物流企業である三菱商事や三井物産と異なり)自社株購入ではなく、海外分野を中心とする将来的な投資に回す方針です。
次々と海外企業を支配下に入れる伊藤忠
伊藤忠は、国内の企業に拘らず、次々と海外企業を支配下に入れています。一例として、2014年7月、中国の「天津物産集団」と一緒に鉄鉱石の原材料の輸入と加工処理に特化した合弁事業「天津物産天伊国際貿易」を設立しました。中国の貿易会社と協力して鉄鉱石販売を始めるのは、日本の商社では伊藤忠が初めてです。伊藤忠の外国から安定して鉄鉱石を入手する力と、天津物産集団の鉄鉱石を処理する力と販売する力を結集して中国の鉄鉱石市場を制覇する予定です。これを足がかりにして、将来的には中国の他の分野への事業拡張も視野に入れていますが、諸々の事情により、暫くは様子を見る意向です。
海外でトラブルを抱えている例も
次々と海外企業を支配下に入れる伊藤忠、前述の天津物産天伊国際貿易の他、オーストラリアの石炭事業や米国の青果事業等、延べ43億ドルを投資しています。しかし、同社の海外進出は必ずしもうまく行っておらず、中にはトラブルを抱えている例もあります。一例として、2006年、伊藤忠を初めとする合弁事業がアルジェリア政府からアルジェリアの北東の地域を横切る約400キロメートルの高速道路の建設命令を受け入れましたが、工期が遅れている点を理由に10億ドル以上が未払いになっています。これにはアルジェリア側に大きく問題があります。と言うのも、後からアルジェリア側が新たなるインターチェンジの設立を含む大規模なルート変更を要求したため、予定の8割程度しか終わっておらず、未だ完成の見込みが立っておりません。この様な理由により、海外への事業展開は皆様の想像以上に困難を極めます。