「保険で貯金」という考え方の人が、60代以降の世代には多い。しかも地方に行けば行くほど、この古い常識に囚われている人がたくさんいる。情報過多の時代に、スマホでググったら「保険と貯金は違う」「保険で貯金を試みるデメリット」という記事を目にすることができるのに、なぜこういう結論に落ち着くのか。そしてこの考え方に囚われるとどうなるかを考えてみたいと思う。
赤面セールストーク「貯金は三角、保険は四角」
私が外資系保険会社で営業職をしていたころ、お客様に保険の魅力を説明する一番わかりやすい言い回しが「貯金は三角、保険は四角」だった。
例で説明すると、こうなる。
「毎月1万円貯金をしていたら、100万円を受け取れるのに8年かかるが、もしこれが死亡保険金額100万円の生命保険(死亡保険)だったら、一か月後、つまり一回の保険料1万円を支払っただけでご家族は保険金100万円を受け取れますよ。だから保障の効果ってすごいと思いませんか? さあ、保険に入っておきましょう!」
私自身、こんなセールストークをよくも平気でしたものである。こうして文字に起こしてみると、今では赤面モノのセールストークだと思うのだが、実はこれが地方ではまだまだ有効だったりする。
もちろん、必要な保障を準備するために保険を活用することには異論はない。問題なのは、保険商品のコストをあまり考慮しない点でだ。だから「掛け捨て保険は損するから、保険料は高いけど、貯蓄型の保険に入る」という、合理的とは言い難い結末になりがちなのだ。