女性にとって自分の年金をどのように確保するかは非常に重要な問題です。寿退社を控える女性も例外ではありません。結婚・退職・再就職において、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
いくつかのケースに分けて、選択肢と手続き方法について解説します。
iDeCo加入済みの人が寿退社する場合
既にiDeCoに加入済みの人は、そのまま継続することができます。ただし、年金の被保険者種別が変わるので、毎月の掛金が変更になる場合があります。自分は何号から何号になるのか、掛金はいくらからいくらになるのか、しっかり把握するとともに、被保険者種別の申請を行いましょう。
iDeCo未加入で、勤め先の企業型確定拠出年金に加入していた場合
これまで勤め先の企業型確定拠出年金に加入していた人が、退職して専業主婦になる場合、iDeCoに移換手続きをする必要があります。iDeCoに移換後は、これまで通り拠出と運用を続けることも、追加の拠出はせずに今ある積立金の運用だけを続けることもできます。
移換をするためには、まずiDeCoを管理する金融機関を選びます。申込をするとケース別に必要な書類を指定されるので、それらをそろえて提出すると約1~2ヵ月で移換が完了します。
移換手続きをせずに企業型確定拠出年金のままで放置すると、さまざまな不利益があります。例えば以前の加入者資格を喪失してから6ヵ月以内に手続きしなかった場合、株や投資信託といった資産は現金化され、国民年金基金連合会に強制的に移換されます。現金化されてしまっているので、その後どんなにその資産が値上がりしても運用益はありません。
また、iDeCoに資産を移しておかないと、60歳の支給開始年齢になっても年金の給付を受けることができません。さらに、自動移換の間は加入期間にカウントされないため、年金の受給要件である「60歳時点で加入者期間が10年以上」を満たさない場合、支給年齢を引き延ばされてしまいます。管理手数料が毎月51円(年間612円)、個人別管理資産より差し引かれるので、積立金も低減してしまいます。
iDeCo未加入で、企業型確定拠出年金に加入していなかった場合
企業年金がない会社に勤めていた人は、上記の手続きは必要ありません。どちらにせよ、iDeCoに加入していない人が寿退社後に加入を考えている場合、入籍して配偶者の扶養に入り、年金の被保険者種別が「第3号被保険者」に変更されてから手続きをするのがいいでしょう。iDeCoは被保険者種別によって掛金の限度額が異なるので、加入後に変更があった場合は再度手続きが必要になります。
新規加入手続きをするには、まず金融機関を選定し、資料請求で申込書類を取り寄せます。身分証明書などの必要書類を添えて提出すれば、翌月か翌々月頃から拠出金の引き落としが始まります。そのお金をもとに買える金融商品を選べば運用スタートです。専業主婦の場合、月2万3,000円まで拠出が可能です。
再就職する場合
専業主婦としてiDeCoに加入後、再就職する際には、再度手続きが必要になることを覚えておきましょう。再就職先に企業型確定拠出年金の仕組みがあり、iDeCoへの同時加入を認めていない場合、企業型確定拠出年金への移換手続きが必要です。同時加入を認めているケースもあるので、その場合はiDeCoか企業型かを選ぶことができます。
属性が変わると拠出限度額も変わるので注意してください。専業主婦や企業年金の仕組みのない企業の会社員の場合2万3,000円ですが、企業年金のある企業の会社員は2万円もしくは1万2,000円、公務員は1万2,000円です。
iDeCoで女性の継続的な年金積み立てが可能に
これまで、専業主婦の女性は、自身で年金の積み増しをすることが難しい状態でした。確定拠出年金や国民年金基金の加入資格には専業主婦は含まれておらず、民間の個人年金くらいしかなかったのです。
しかし、2017年1月からのiDeCoは、専業主婦でも加入することが可能になりました。これは画期的なことと言えます。せっかく継続的に年金積み立てができる仕組みができたのですから、ぜひ活用していきたいところです。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ )
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