不動産投資には、減価償却の知識が必須です。減価償却を行うことで、正しく確定申告することができるだけでなく、節税効果を上げることも可能になります。

今回は、不動産投資になぜ減価償却が必要なのか、また、具体的な減価償却の計算方法について解説していきます。

不動産投資と確定申告

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(写真=Melpomene/Shutterstock.com)

不動産投資で収入を得たら、確定申告によって納税の義務を果たさなければなりません。個人が行う不動産投資の確定申告は、大きく2つに分けることができます。それは「不動産所得」と「譲渡所得」です。

● 不動産所得
所有している不動産物件を賃貸することによって得られる「収入金額」や「必要経費」について確定申告するものです。不動産賃貸借契約を締結するのは、所有者である賃貸人(大家)と使用者である賃借人(借主)です。

賃借人が所有者である賃貸人に支払う家賃は、不動産所得の収入金額となります。必要経費は、収入金額を得るために直接かかった費用が該当します。具体的には、固定資産税や修繕費、減価償却費が当てはまります。不動産物件の購入代金は、必要経費とはならない点で注意が必要です。

● 譲渡所得
所有している不動産物件を売却することによって得られる「収入金額」や「取得費」、「譲渡費用」について確定申告するものです。不動産物件を売却して買主から受け取った金額は、譲渡所得の収入金額となります。

「取得費」には、購入代金や購入手数料、登録免許税、不動産取得税、立退料、所有権を主張するための訴訟費用などが含まれます。「譲渡費用」には、仲介手数料や印紙税などの費用が該当します。固定資産税や修繕費用は、譲渡費用には当てはまりません。

減価償却とは

減価償却とは、年数の経過によって資産価値を減少させることを言います。建物や車両、機械など経年によって資産価値が下がる資産を「減価償却資産」といい、減価償却することによって購入代金を費用化できるようになります。

先ほど解説した確定申告の中で、不動産所得の必要経費に不動産物件の購入代金が含まれないことにお気づきになりましたか。不動産物件は減価償却資産に該当するため、購入代金を一括して必要経費とすることができません。

それはたとえ不動産物件を、現金で一括購入したとしても同じです。毎年減価償却することによって、購入代金を費用計上することができるのです。

計算対象・計算方法・耐用年数

減価償却の計算対象は、先に解説した通り「減価償却資産」となります。土地などは年数の経過によって機能や性能が劣化するわけではないため、非減価償却資産となっています。

減価償却の代表的な計算方法には、「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、建物については「定額法」によって計算することになっています。取得した時期によって「定額法」と「旧定額法」のどちらかを適用しますが、2007年4月1日以降に取得した不動産物件は定額法によって計算を行います。

耐用年数とは、所得税法によって定められた不動産物件の使用可能年数のことを言います。建物の耐用年数は、構造や使用用途によって年数が定められています。例えば住宅用の木造住居は22年、鉄筋鉄骨コンクリート造の住宅用住居は47年という耐用年数になっています。

それでは実際に、「定額法」と「耐用年数47年」を使用して、減価償却費の計算をしてみましょう。マンション1室を取得するためにかかった全ての購入代金が4,000万円だったとします。国税庁による「減価償却資産の償却率表」より耐用年数を当てはめると、償却率が0.022でした。定額法は毎年均等に費用化する計算方法となるため、購入代金のうち88万円(=4,000万円×0.022)が減価償却費として経費計上されることになります。45年間は88万円を減価償却費として計上しますが、46年目は39万9,999円を減価償却し、帳簿価格が1円になるようにします。

減価償却は想像よりもカンタン

不動産投資には、減価償却の知識が必要不可欠です。「減価償却」というと難しそうだと感じてしまうかもしれませんが、実際にはカンタンな掛け算だけで計算することができます。

今回の記事が、減価償却の苦手意識を払拭するきっかけになれば幸いです。(提供: 不動産投資セミナー

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