しっかりとしたビジネスモデルの構築は、「特定の顧客や営業マンが離れても、会社は継続していけるだろうか?」「新しい事業に、お金や人は集まるだろうか?」といった企業の課題を解決してくれるカギとなります。今回は、ビジネスモデルの定義、効果、中小企業における必要性を説明します。
ビジネスモデルとは何か?
ビジネスモデルとは、簡単に言えば企業の目的・目標を達成するための「仕組み」です。企業は売り上げや利益の構築を個人の営業力や特定顧客の動向に頼るのではなく、再現性のある「仕組み」としなければいけません。確固たるビジネスモデルは、主に次の4つによって構成されます。
1. 目的および目標(Why・When・How much・How many)
「この事業を何のためにするのか」「なぜこの方法をとるのか」「いつ、何をすれば、目的を達成できるのか」を具体的に示します。
2. 市場および顧客(Who・Where)
「どのような人々が顧客となるか」「顧客となる人々にはどのような共通点があるか」を想定します。それだけでなく、適正かつ継続的に利益を上げることを前提にした、利害関係者(ステークホルダー)とのあり方を描きます。
3. サービス・商品製造販売を実現するための仕組み(How・What)
顧客がニーズを満たす方法、そのために自社が備えているヒト・モノ・コト・情報などの資源を明らかにします。
4. 事業を継続・発展させていく仕組み
顧客、従業員、銀行などの利害関係者にとって、企業は存続するのが前提です。上記のような仕組みを、継続して発展させていくことを示す必要があります。
ビジネスモデルによる効果は?
ビジネスモデルを構築する主なメリットは、「既存事業の見直しができる」、「新規事業を明確に組み立てることができる」、「ビジネスプランを作成しやすくなる」の3点です。
1.既存事業の見直しができる
利益構造、顧客、自社資源などの要素を体系的に分類することで、既存の事業を評価し、分析しやすくなります。
2.新規事業を明確に組み立てることができる
事業の準備段階において、一定の枠組みに基づき、もうかる仕組みを具体化することで、現実的かつ詳細に戦略を検討することができます。
3.ビジネスプランを作成しやすくなる
ビジネスモデルの延長線上にはビジネスプランがあります。ビジネスモデルとビジネスプランはよく似ていますが、ビジネスモデルは上場企業の有価証券報告書のように企業の全体像をつかむためのもの、ビジネスプランは決算書や事業の概要などの、より細かい粒度で具体的に形にしたものです。ビジネスプランは、新規事業の立ち上げや起業などの際、投資家などの利害関係者へ説明するために利用されます。
なぜ中小企業にビジネスモデルが必要なのか?
中小企業は新規の企業(スタートアップ)と既存の企業に分けられます。どちらにとっても、継続・発展していくためにはビジネスモデルが必要です。
スタートアップ、いわゆるベンチャー企業を立ち上げるときにはお金や人材などの経営資源を調達することになります。資金調達先や人員募集の際には、わかりやすく事業の魅力を伝える必要があり、ビジネスプラン(その中核となるビジネスモデル)が不可欠です。
新規事業の立ち上げは忙しく、想定外のことが起こりえます。その中で自社が取り組むことを見失わないためには、しっかりとしたビジネスモデルを構築することが効果的です。そのためには、詳細な戦略を立案し、実績を評価・軌道修正していく必要があります。
既存の中小企業に多い下請け企業にとってもビジネスモデルの重要性は高いです。中小企業庁が2013年8月に発表した「下請中小企業の現状と今後の政策展開について」によると、1つの企業に対する売上が50%を超える下請け中小企業は、全体の約40%を占めます。
ひとつの取引先への依存度が高くなれば、取引先の経営が傾いたり、取引が打ち切られたりしたときに、倒産のリスクが高まり、事業継続が危ぶまれる可能性もあります。
ビジネスモデルの構築は、そのような中小企業特有のリスクを回避するための手段として有効です。ビジネスの展開や発展性を考えて、利益を生み出す仕組みを確立することで、特定の会社との関係性に依存することなく、新たな市場を切り開くことができるようになるのです。
ビジネスモデルは事業の継続・発展に役立つ
中小企業がビジネスモデルを明確にすることは、既存事業を見直し、新たな収益の仕組みを構築するのに役立ちます。また、新規事業の戦略を策定する土台になり、利害関係者に説明する際にも活躍します。よりよい経営のためにも、ビジネスモデルを確立させるとよいでしょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)
※当記事は2017年2月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。