会社が従業員に提供する社員寮は福利厚生の一環としてなされるものですが、通常の社員寮については、助成金制度は一定の場合を除いてありません。しかし、「雇用促進住宅制度」という助成金に似ている制度があります。今回は、この雇用促進住宅制度について紹介していきます。

社員寮のための助成金はない?

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(写真=Mikkel Bigandt/Shutterstock.com)

社員寮には助成金制度は基本的にありません。例外として、障がい者向けの社員寮や社宅などに提供する場合には「重度障害者等通勤対策助成金」があります。障がい者を入居させるために住宅を賃借する「重度障害者等用住宅の賃借助成金」は、障がい者に住居を提供する、いわゆる社員寮や社宅として利用する際に、会社が借り上げた賃貸料について、助成金が支払われる制度になっています。

雇用促進住宅について

社員寮や社宅についての助成金制度はありませんが、似たような制度として「雇用促進住宅制度」というものがあります。この制度は、勤労者向けの住宅で、原則として雇用保険の被保険者を対象とする賃貸住宅になります。

なお、「規制改革推進のための3か年計画」(平成19年6月22日閣議決定)に基づき、2021年度(平成33年度)に住宅の譲渡・廃止を完了させることとなっているため、この雇用促進住宅制度は終了する予定となっているため注意が必要です。

雇用促進住宅制度は、ハローワークなどで仕事が見つかり就職する場合や、配置転換や出向などにより転居が必要になった場合において適用されます。住宅の確保の観点から、借りることのできる公共の賃貸住宅が提供されています。

敷金2ヵ月分以外の礼金や手数料を必要としないので、従業員の負担を軽減させることができます。家賃も通常の賃貸物件を借りるよりも安いことが大きな特長です。

単身の人だけでなく家族も入居が可能で、間取りも2Kから3DKまでと幅広い家族構成に対応可能となっています。借りたいと思った場合は、ハローワークに申込をすることが必要です。一部の住宅を除き先着順になっているため、借りたい場所を借りることができない場合もあります。

入居条件としては、
・ ハローワークの紹介によって就職することになり、住居を移転する場合
・ 転勤などで住居を移転する必要があり、住宅がないなど困窮している場合
・ その他職業の安定を図るために、住宅の確保が必要な場合
上記のいずれかに該当する必要があります。

また、入居者自身にも条件があり、
・ 単身もしくは家族を伴って入居する場合
・ 申請者の年収の1/12の金額が、家賃と共益費の合算の額の3倍以上であること
・ 親族などに毎月の収入額が、家賃と共益費の合計の金額の3倍以上の収入がある、確実な連帯保証人がいること
・ 申請者と申請者と同居される人が暴力団員などでないこと
上記が条件になります。

社員寮に入る社員向けにサポートを

社員寮などに入る従業員は、基本的にコストをかけずに住宅を見つけたい、という考えの人が多いでしょう。そのため、転勤などによって社員寮がない場所に異動になると、不満が出ることがあります。このような時に、福利厚生の担当者は、雇用促進住宅制度を従業員に紹介するといいでしょう。

もっとも、2021年には廃止することとなっているため、長期的に利用することは不可能です。廃止を見据えて、期限内に紹介する必要があることも忘れないでおきましょう。(提供: フクリ!

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